日本財団 図書館


九時〇〇分、交替要員に引継ぎ、固定してある舟艇一号艇にて水没車両まで行き、潜水救助隊員二名をロープで舟艇内確保、救出を試みるも激流のため、活動は困難を極めた。水没車両キャリア部分を足探りで見つけ、小綱を通し舟艇二号艇に固定、小綱をたよりに車両ルーフより弁慶でリヤーウインド及びリヤーサイドウインドを破壊開放、リヤピラーに掛け縄を掛け、大型クレーン(民間)及び救助工作車のウインチで車両を右岸まで牽引し、一一時〇八分車両内を検索するも要救助者は一名(A)しか発見できなかった。

もう一名(B)の要救助者を舟艇二艇で水没車両、入水事故現場付近、及び両岸地上から六?q下流ダムまで検索範囲を拡大するも、要救助者は発見できず。一七時〇〇分日没のため、一日目の検索活動を終了した。

二日目、水没位置より上流二〇mから下流一?qまでの矢作川右岸をイカリ及び舟艇二艇で、又県防災航空隊の協力により上空からの検索を実施するが、発見できず。一六時〇〇分活動を中止する。

三日目、水没位置より、下流六?qを救助隊及び消防隊八隊で水上、地上から捜索した。九時五二分下流六?qダム左岸で、南分署救助隊が要救助者を発見(鑑定結果、捜索中の要救助者とは、別人と判明)。一六時〇〇分、消防署長の指示で活動を終了した。

四日目、三日目と同様に検索活動をするも発見できず。

五日目より、捜索活動を縮小。

一〇月六日(火)六時〇〇分、水没場所より一〇?q下流で、中州にひっかかっている要救助者(B)を近くの住民が発見、警察に連絡。これをもって活動を終了した。

 

おわりに

今回の事故発生の一週間ほど前から、二度の台風に見舞われ、その後も秋雨前線の停滞により、降雨が続き、河川の増水、ダムの放流が重なり、救助活動が困難を極めた。しかし、その中でも、クレーン車および、救助工作車が活動できる範囲内に、事故車両が水没していたことは不幸中の幸いであった。今後、災害現場へ進入できない時の消防車両の活用、資器材の確保、指揮本部の運営、関係機関への働きかけ等、悪条件の中での対応をさらに向上するための検討が必要であると痛感した。

(春谷明彦)

 

予防・広報

安全な都市づくりをめざして

ひたちなか市消防本部(茨城)

 

はじめに

本市は茨城県の中央部からやや北東に位置し、東京から約一〇〇?qの距離にあって東西約一三?q、南北約一一?qで九八・九九?q2の面積を有している。

西は常磐自動車道の通る那珂町に、北は原子力のメッカ東海村に、南は那須岳を源流とする那珂川を挟んで県都水戸市と大洗町に接し、東は美しい碧の海の広がる太平洋に面し一三?qの海岸線が続いている。

東部に位置するひたちなか地区では、国際コンテナ港となる常陸那珂港を始め、三五〇haの規模を有する国営ひたち海浜公園や本市から群馬県高崎市に至る北関東自動車道等の整備が進められており、二一世紀には北関東の中核的な都市に発展することが期待されている。

当市の消防体制は一本部三署に一五七名の職員を配し、消防分団二九ケ分団に三八九名の団員とともに安全な都市づくりをめざして消防防災活動に積極的に取り組み、常備・非常備一致協力した態勢をとり、真に市民の信頼に応えられる体制を整えている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION