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主な産業は、機械工業で、そのなかでも特に自動車産業が盛んであり、市内のいたるところに関連の工場、事業所があり「東洋のデトロイト」と形容されている。平成一〇年四月より、中核市となり「産業文化交流都市」を目指し、美術館、能楽堂が建設され、又、スタジアム等の様々な文化・教育施設の建設が予定されている。

当本部の構成市町村は、一市一町一村で、当消防本部はこれを管轄とする一部事務受託消防本部である。人口三六万八千人、総面積四三〇・二四?q2である。

現在の消防体制は、職員数三二七名、一署五分署五出張所で各種災害に対応している。

今回ここに紹介する救急・救助事例は、矢作川とその支流籠川合流点付近で、四輪駆動車が渡河横断に失敗し、流され水没、二名が車両の中に閉じ込められた事故事例である。

 

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中日新聞提供

 

一 事故発生日時等

(1)発生日時 平成一〇年九月二七日(日)

四時五五分頃

(2)発生場所 豊田市落合町 矢作川籠川合流点付近

(3)覚知時間 五時〇〇分(一一九番通報)

(4)現場到着 五時〇八分

(5)事故車両発見 六時三〇分

(6)要救助者救出 一一時〇八分

(7)要救助者 (二人)男性A(二八才)溺水による死亡・男性B(二三才)溺水による死亡(後日車両発見地点より約一〇?q下流で救出)

(8)出動車両・人員等

1]消防職員  一三六名 消防車両五一台

2]消防団員  五〇名 団車両 四台

3]防災航空隊員  六名 ヘリ 一機

 

二 事故の概要

救助現場は、署から北約三・五?qに位置する矢作川籠川合流点であり、堤防より四輪駆動車(五名)で乗り入れ、支流である籠川を車で横切ろうとした際、強い流れにより操縦不能となり、そのまま本流である矢作川(下流約五〇m水深約三m)に流されたもので、後部座席の三名は自力で脱出し、運転者と助手席の二名が、車と共に水没したもの。

 

三 活動の概要

四輪駆動車が川に流されたとの一一九番通報を受け、指揮車一台、救助工作車一台、及び救急車一台が出動する。関係者から、五名乗車の内三名は自力脱出、運転者と助手席の二名が車内に取り残されているとの情報を得る。

現場指揮者は、救助活動が長時間を要すると判断、通信司令室に応援要請並びに水難救助車一台の出動要請をする。関係者の供述をもとに舟艇一号艇二号艇を籠川車両入水場所から矢作川右岸へと検索を実施した。籠川と矢作川合流点の下流約五〇m、右岸約二〇m付近にて水没車両を発見する。激流のため、水没車両を見失わないよう舟艇二号艇にて矢作川右岸上流雑木林よりフローティングロープを展張、さらに右岸側雑木林からも展張し水没車両位置に舟艇一号艇を固定した。

現場指揮本部により、愛知県防災航空隊の要請(荒天のため出動不能)、矢作川上流のダム三箇所に放流制限(最減水一三時三〇分)、大型クレーン車(民間)の応援をするよう要請する。

 

 

 

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