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二 出動車両及び人員

・出動車両 指揮車等  二台

タンク車  二台

ポンプ車  二台

大型水槽車  一台

小型動力ポンプ付積載車  三台

・出動人員 消防職・団員  八六名

 

三 出火建物概要

出火建物は、平成元年に鉄骨平屋建ての飼料倉庫として建設された。その後、平成五年及び平成六年に倉庫と牛舎が増築され、延面積は一、〇〇四・四m2である。出火当時の飼料倉庫兼牛舎には、七〇頭の肉牛と約五〇〇個の乾燥牧草ロール・敷藁ロール等が収納されていた。

 

四 活動概要

(1) 出動途上の状況

平成九年六月二日一一時三八分「牛舎が燃えている」と一一九番通報を受け、一般建物火災第一出動を指令、タンク車二台、大型水槽車一台、ポンプ車二台、小型動力ポンプ付積載車三台、計八台の出動と地元消防団の非常召集を行った。

火災現場は、最寄りの消防機関である壮瞥支署から直線距離で東方〇・八?qに位置し、同支署の当務隊長は火災の通報を受けると、事務室からその方向に視線を向け、火災と思われる灰色の煙を確認している。

(2) 先着隊現場到着時の状況

現場到着時、火は倉庫内部に収容されている乾燥牧草ロールの表面を走り一気に拡大した。特に建物北側の燃焼が激しく、その一〇m先に牛舎があり、関係者に事情を聞くと「ここの牛は全部逃がしたが北側の牛舎にはまだ牛がいる」との情報を得た。

(3) 消防活動状況

最先着の壮瞥支署タンク車隊は、後続の大型水槽車(積載水一〇t)の補水を受け二線放水を実施。北側牛舎への延焼防止に主眼を置いた活動を行った。更に、直近の公設消火栓に水利部署したポンプ車隊からの送水を受け、延焼阻止拠点である建物北側へ四線放水を行い火の勢いを止めることに成功。北側牛舎への延焼は回避された。

現場付近の水利状況は、前記の消火栓以外に、出火建物の北東約四〇〇mと北西約四五〇mに四〇t防火水槽がそれぞれ一基ずつある。又、出火建物南側二八〇mに農業用水路があり、地元消防団員から「今の時期は十分な水量がある」との情報を得て後続のポンプ車隊、小型動力ポンプ付積載車に農業用水路の水利部署を指示する。

火の付いた約五〇〇個の乾燥牧草ロールは少々の放水ではその勢いを抑えることができず、後続隊とともに包囲体制を取り、大量放水(全放水量、約一、五〇〇t)を行い一四時〇五分火勢の制圧に成功し鎮圧状態となった。しかし、表面燃焼は鎮圧したものの、圧縮された牧草ロール内部の燃焼を抑えることはできず、重さ五〇〇?s、直径一・七m、高さ一・二mの牧草ロールを一個ずつ崩し放水する作業が必要となった。また、多量に発生する煙が消火作業をより困難なものとした。

現場指揮本部は長時間の活動を予測し、署職員の特命出動と消防団員を含めた注水隊の再編成を行い、交代で活動する体制を整えるとともに、大型トラクターとパワーショベルを導入し、牧草ロールの屋外搬送を併用した消火活動を行い、覚知から七時間を越える火災は一八時四五分鎮火に至る。

 

おわりに

本火災は、七時間以上にわたる消火活動を余儀なくされたが、消防職員と消防団員が緊密な連携をとり長時間の消火作業を乗り切ることができた。小規模消防本部としては、今後も消防団との連携が重要であると再認識させられた火災であった。

(瓶子 滋)

 

救急・救助

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豊田市消防本部(愛知)

 

はじめに

当消防本部は、愛知県のほぼ中央に位置し、長野県に源を発する矢作川が、市域を南北に流れ周囲を山々で囲まれた緑豊かな三河の盆地である。

西側は名古屋市に通ずるゆるやかな丘陵地になっており、北は猿投山を中心に山々が連なり、南側は平坦な土地が広がり、田園地帯となっている。そして、東は徳川家康発祥の松平郷を始め、景勝地が点在しており、愛知国定公園の一部を形成している。

 

 

 

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