火 災
長時間の活動を要した飼料倉庫火災
西胆振消防組合消防本部(北海道)
はじめに
当消防本部は、北海道南西部の支笏・洞爺国立公園内に位置し、太平洋の内浦湾を望む火の山「有珠山」と神秘の湖「洞爺湖」、世界でもめずらしいベロニーテ火山「昭和新山」を中心に、虻田町、豊浦町、壮瞥町、洞爺村、大滝村の五ケ町村で構成されている。気候は北海道の中でも温暖で降雪量も少なく、農業・漁業・観光の盛んな地域である。
当地域のシンボルでもある有珠山は、一九七七年に大噴火を起こし、周辺に甚大な被害を及ぼしたが、今ではその傷痕も癒え、洞爺湖や昭和新山などの雄大な自然と豊富に湧き出る温泉の恵みを受けている。管内には多くの温泉旅館があり、特に洞爺湖温泉は北海道を代表する温泉地で、全国各地から大勢の人々が集まり賑わいを見せている。
消防体制は、一本部・一署・四支署で、職員七五人、各町村の消防団員三九〇人で、管内面積八九三・一五?q2、人口二二、八五三人の住民の安全を守るため、職員一丸となって防災の任に当たっている。
ここに紹介する事例は、牛の飼料倉庫兼牛舎火災で、ロールが燃え、内部に収納された大量の乾燥牧草鎮火まで約七時間を要した火災である。
一 火災の概要
(1)出火日時 平成九年六月二日(火)
一一時三〇分頃
(2)出火場所 有珠郡壮瞥町字滝之町
(3)覚知時間 平成九年六月二日
一一時三八分(一一九番)
(4)鎮圧時間 平成九年六月二日
一四時〇五分
(5)鎮火時間 平成九年六月二日
一八時四五分
(6)気象状況 六月二日一二時
天気曇、気温一四℃、湿度五一%、風向南東、風速一m
(7)負傷者 中等症一名(男性)
応急消火義務者が倉庫内部の牛七〇頭を屋外に避難させた際、顔面に火傷を負ったもの。
(8)被害状況 焼損面積一、〇〇四・四m2
損害額一、四八〇、〇〇〇円
(9)出火原因 電気溶接の火花が近くの乾燥牧草に着火