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また、従来から都及び区市町村が福祉施策として実施している日常用具給付等事業の品目の中に住宅用火災警報器、簡易自動消火装置、防炎(難燃)寝具を加える事を当庁が要請した結果、これらの品目が昭和五七年及び昭和六二年の四月に、給付等の品目に追加されました。

なお、平成一〇年四月から、住宅用火災警報器、簡易自動消火装置及びガス安全システムは新設された東京都の補助事業である火災安全システム事業により給付されることとなっています。

(三) 防災教育訓練の推進

災害弱者及びその家族並びに福祉関係者や地域住民に対し、通報要領、模擬消火装置や移動防災教室車等を活用した初期消火要領、煙体験ハウスを活用した避難要領、応急手当の方法について教育訓練を行っています。特に、高齢者には身体の変化に応じ、障害者には身体や内部障害の程度に応じた教育訓練を行い、不安等を解消しながら、防火防災意識と災害対応能力の向上を図っています。

(四) 安心コールの実施

平成九年二月の緊急防火診断に合わせて、はじめて「安心コール」を実施しました。これは、緊急通報システム及び聴覚障害者用緊急ファクシミリを利用する災害弱者に対し、各消防署から、防火防災の指導、相談、機器の適正な使用方法等について電話連絡を行い、災害弱者の安心感を高めるとともに、災害弱者の現状を適正に把握してもらう等の安全対策を更に充実させるものです。なお、平成九年七月の依命通達により、一年に一回を目安として実施することとしました。

(五) 緊急通報システムの整備(下図参照)

緊急通報システムは、災害弱者がペンダント型発信器を押すこと等で自動的に消防に通報されるもので、救急車等が到着する以前に通報者の安全確保等を行う役割をもつボランティアの協力員とともに、寝たきり一人暮らし高齢者や重度身体障害者等の安全を守るもので、対象者から区市町村に申請がなされ登録されるようになっています。

本システムは、昭和五七年一〇月、東京都長期計画懇談会報告の中で、老人福祉施策の一つとして、緊急通報システムの実施について提言がなされ、昭和五九年一〇月、(財)社会福祉総合センター内の受信センターにおいて一区二市三八世帯で試験的運用が開始されました。

昭和六三年九月、受信業務が東京都から東京消防庁(災害救急情報センター)に移管されました。更に、平成二年度から重度身体障害者も同システムを利用することが出来るようになっています。

本システムの登録者数については、昭和六三年の受信業務移管時には、八区一四市一町の五九五人であったものが、平成一一年七月末現在、二三区二四市三町で、一一、〇三七世帯、一一、七一一人と大幅な増加をしています。

聴覚障害者からの通報については、昭和六二年から一部区市町村の消防署でファクシミリ通報の受信を行っていましたが、平成四年六月からは、聴覚障害者ファクシミリ通報の受信を災害救急情報センターが直接行うようになっています。

また、平成九年四月から、協力員の確保が困難な高齢者を対象にして、民間事業者による緊急通報システム事業が開始されました。このシステムは、災害弱者が、ペンダント型発信器を押すこと等で民間事業者に自動的に通報されるもので、その後必要に応じ民間事業者から一一九番通報がなされるとともに、その民間事業者が通報者宅に駆けつけます。区市町村に申請し登録された寝たきり一人暮らし高齢者等が利用できます。

平成一一年七月末現在、九区四市で、三一一世帯が利用しています。

緊急通報システム概要図

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(六) 火災安全システムの整備(次頁図参照)

高齢者の火災による死亡を防止するため、東京消防庁と東京都との協力で、防災福祉対策の一つとして、火災安全システムの運用が、昨年一〇月から開始されました。本システムは住宅用火災警報器が作動すると、その信号が自動的に指令室(受信センター)の受信装置に通報されるもので、区市町村に申請して登録された、おおむね六五歳以上で心身機能の低下や居住環境等から防火上の配慮が必要な一人暮らし又は高齢者のみの世帯の高齢者や重度身体障害者等が利用できるものです。

(七) 防災福祉業務関係会議の開催

区市町村や福祉関係者などを構成員として地域協力体制づくりに係る意識の高揚や災害弱者の把握、緊急通報システムの円滑な運営などの安全対策を推進するため、地域協力体制づくり推進会議や緊急通報システム等地域安全対策会議を開催しています。

 

 

 

 

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