日本財団 図書館


東京消防庁の災害弱者に対する防災福祉対策について

東京消防庁 生活安全課

 

東京都の高齢化は急速に進展しており、平成二七年(二〇一五年)には都民の二五・二%が高齢者になると予想されています(下記グラフ参照)。

これに対応するため、東京都では福祉、衛生の両高齢者部門等を統合して、高齢者施策推進室を発足させたり、住宅介護支援サービスの充実等各種施策を推進しています。

又、国においても介護保険制度の準備が進められるなど少子高齢社会への対応が進められています。

また、東京都では障害者が健常者と共に普通の暮らしを営むことができるようになることを目指したノーマライゼーション推進東京プラン(東京都障害者行動計画)や東京都福祉のまちづくり推進計画(みんなでつくるやさしい町東京)の改定等も行い、長期的視野に立って総合的に施策を進めています。

東京消防庁でも高齢者や障害者等災害弱者に対する防災福祉対策として、地域協力体制(消防のふれあいネットワーク)づくりの推進、災害弱者家庭訪問である防火診断の実施や緊急通報システムの運用などを行ってきており、新たに昨年一〇月から東京都、区市町村と共同で運用を開始した火災安全システムも含め、一層の防災福祉対策の充実に努めています。

今回は東京消防庁の防災福祉対策の沿革と現状及び今後について紹介します。

 

一 沿革

・ 昭和四八年二月 昭和四七年に火災による高齢者の死者が増加したことから、高齢者の焼死者防止対策の総合的推進について依命通達し、六〇歳以上の寝たきり及び一人暮らし高齢者の実態調査、隣保共助体制の啓発、自動火災警報器や消火器具の設置指導等を行った。

・ 同年四月 都民生活の安全と防災福祉の確保等を担当する生活安全課を新設した。

・ 同年五月 寝たきり高齢者等の実態調査を行い、八、六九九人の寝たきり高齢者と、一二、三七九人の一人暮らし高齢者を把握した。このうち最も災害に弱いと考えられる寝たきりかつ一人暮らしの高齢者約一、六〇〇人について台帳を作成した。

・ 同年七月 高齢者の焼死事故防止について総監から東京都民生局長へ協力依頼を行い、焼死事故防止対策として七項目の要望を行い、一人暮らし老人世帯の近隣者に対する協力依頼と併せ、協力者に対する褒賞金制度の創設を求めた。

・ 同五一年六月 高齢者の実態把握と台帳を作成し、隣保共助体制づくりについて通達し、六五歳以上の寝たきり高齢者の近隣居住者三名以上に協力について依頼書を交付して同意を得ておくことと老人家庭訪問時には協力依頼先にも併せて訪問するなどについて示した。

・ 同五二年三月 障害者の実態把握と台帳を作成し、関係機関との連携による隣保共助体制づくりを図ることについて示した。

・ 同五六年三月 障害者対策の推進について依命通達し、障害者団体等を通じて隣保共助体制を確立するよう指示した。

また、都民指導に関する規程を制定した。

・ 同六一年二月 聴覚障害者に対するファクシミリによる一一九番通報の運用を開始した。

・ 同六三年九月 緊急通報システムの受信を開始した。(昭和五九年一〇月から東京都が試験的に運用を行っていた)

・ 平成元年四月 生活安全課に防災福祉担当を新設した。(平成五年四月防災福祉係に)

・ 同二年八月 地域協力体制づくりの推進について依命通達し、重点推進署九署を指定して、地域住民の支援協力による防災コミュニティーの確立を図ることとするとともに、近隣の支援協力と同時に災害弱者自身も地域社会に溶け込むような努力をするよう示した。

・ 同年九月 重度身体障害者を緊急通報システムの新たな利用対象者に加えた。

 

003-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION