―自然に振り返る鉄とランのまち―
東海市は、愛知県西部知多半島の西北端に位置し、県内主要な工業地域である名古屋南部臨海工業地帯の一角を形成しています。総面積四三・三六?q2、人口九九、七〇五人で、西に面した伊勢湾の海流の影響を受けた温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれており、全国一のフキの産地となっています。
また三〇年程前から全国に先駆けて始めた洋ランの栽培も、新種の開発に取り組むなどフキ以上に盛んです。当市は、鉄鋼だけでなく自然とのふれあいを大切にした「鉄とランのまち」として親しまれています。
当市出身の郷土の偉人として挙げられるのが、細井平洲です。疲弊した藩政を一代で立て直し、名君として称えられた米沢藩主上杉鷹山の師となった平洲は、享保一三年(一七二八年)に当市荒尾地域に生まれました。京都や長崎で儒学を始めとした多くの学問を学び、江戸に「嚶鳴館(おうめいかん)」という塾を開きました。その後、米沢藩に招かれた平洲は、「知識よりも実学」として、上杉鷹山による様々な改革を導き、二人の師弟関係は今でも世の模範として称えられています。平洲の教えと思想は、社会教育の先駆けと言われ、生活密着の哲学は当市の行政にも深く浸透されています。
市民の交流や健康づくりなども充実しており、中でも「しあわせ村」は、四季折々の美しさを持つ福祉型公園として整備され、保健と福祉、ふれあいの三つが調和した市のシンボル的存在になっています。こういった施設を始め、緑の草木が生い茂る大小数多くの公園が点在するなど、市民が自然の中でお互いのふれあいを大切にしたまちづくりを進めています。
消防本部は、昭和四四年四月に東海市の市政施行と共に発足し、現在一署・二出張所、一一一人の職員と一団本部・八分団、一九八人の消防団員が一丸となって、さらなる消防業務の充実に努めています。
東海市消防本部 消防長 富田昭和