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ワンポイント

消防職員のための法令用語解説

 

地方分権推進計画(九)

 

一一 従前の個別の機関委任事務の在り方

機関委任事務については、既に役割や使命を終えたものや、社会的経済的意義が乏しくなったものは廃止し、他は、国の直接執行事務、法定受託事務、自治事務に分けるものとしている。

自治事務の割合が増えることが、地方自治の進展につながる。

 

一二 従前の個別の団体(委任)事務の在り方

個別の団体(委任)事務については、国の直接執行事務とするものを除き、存続が必要なものは自治事務とする。

 

一三 地方事務官制度の廃止

地方事務官制度は廃止し、社会保険関係事務、職業安定関係事務に従事する職員は、国家公務員である厚生事務官、労働事務官とする。

 

一四 権限委譲の推進

権限委譲を推進し、地方分権推進委員会の勧告に従って、国の権限を都道府県又は市町村に、都道府県の権限を市町村に委譲する。

人口二〇万以上の市について、特定の事務について都道府県の権限を委譲する措置を講ずることとする。

分権の推進は、権限の委譲を伴わなくては十分ではない。一層の権限の委譲が地方自治を発展させるといえる。

ただ、難点は、財源の確保が十分行われないと、絵にかいた餅になってしまうおそれがある。

 

一五 必置規制の見直し

地方公共団体の自主組織権を尊重し、行政の総合化、効率化を図るため必置規制を見直す。

自主的な地方行政を進展させるものである。

 

一六 国の地方出先機関の在り方

国の関与の減少に伴い、事務量が減少すると見込まれる国の地方出先機関については、組織、業務の縮減、合理化を図る。

 

一七 国と地方の財政関係の基本的な見直しの方向

地方分権を推進していくために、国と地方公共団体の財務関係について、基本的な見直しを行う必要がある。そこで、

ア 国庫補助負担金の整理合理化

イ 存続する国庫補助負担金の運用、関与の改革

ウ 地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保

を、地方分権推進計画は掲げている。そのうち、特に重要なのは、一般財源の充実確保である。

 

一八 地方税財源の充実確保

地方分権推進計画は、地方税の充実確保、地方交付税総額の安定的確保、地方債発行の国と地方公共団体の協議制度について掲げている。

しかし、一般財源として、特に必要な地方税の充実強化について、法定外普通税の認可制度の廃止と国の同意を要件とする協議、法定外目的税の創設と国の同意を要件とする協議等について触れているが、具体策としては不十分であるといえる。

 

全国消防長会

顧問弁護士  木下健治

 

 

 

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