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挿絵1 デジタル化の背景

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更に、平成一〇年六月には電気通信技術審議会から「四〇〇MHz帯等を使用する業務用の陸上移動局等のデジタル・ナロー通信方式の技術的条件」の答申を受け、本年三月、業務用無線の利用増大と通信の高度化に向けてのデジタル・ナロー通信方式の導入に必要な関係法令が改正されました。(挿絵1参照)

 

三 デジタル化とは

デジタル化とは、情報を数値化することです。コンピュータでは、文字や数字などのデータを「0」と「1」の組合せに置き換えて処理します。フロッピーディスクやコンパクトディスク等に記録する情報はデジタルに分類され、文章やレコード盤等に記録された情報はアナログに分類されます。アナログとは、「連続する」という意味で、アナログの連続した波の形を、「0」と「1」に置き換えたのがデジタルです。人間にとっては、文字、音声、映像等はそれぞれまったく違う形をした情報ですが、コンピュータが情報を処理するには、どんな形の情報もすべて同じ数字の羅列として処理され、言い換えれば、文字、音声、映像等を統合して扱うには、デジタル化が不可欠になります。

消防通信も、これまでの音声を主体とした通信のほか、データ伝送等により消防本部から現場の消防部隊等に防火対象物、水利及び医療情報等を提供したり、災害現場の映像、各隊の活動状況及び車両の位置情報等をデータとして消防本部に伝送することなど高度な情報通信が求められています。こうした各種情報を効率よく処理するためには、消防・救急無線のデジタル化が必要不可欠となります。(挿絵2参照)

 

挿絵2 消防通信のテジタル化概念図

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四 デジタル化による効果

消防行政に対する地域住民の要求や期待はますます高まることが予想され、災害から住民の身体、生命、財産を守るためには、より迅速かつ適切な消防救急活動が必要となります。そのためには隊員の気力、体力、活動技術等の向上とともに資器材の充実や通信機器の高度化等を図ることが必要です。

消防・救急無線のデジタル化は、現在の音声主体の通信に比べ、データ伝送等により災害現場の映像や消防部隊の活動情報、傷病者の観察情報等を消防本部や医療機関等に容易に伝送することができ、部隊活動の効率化と救急救命率の大幅な向上が期待できます。(別表1参照)

 

五 消防通信に関する特別研究委員会における検討

平成八年八月に、郵政省から消防機関に対して消防・救急無線のデジタル化については全国の消防機関が統一的な考え方で臨むよう要望され、それを受けて平成九年一月に全国消防長会の「消防通信に関する特別研究委員会」(構成一七消防機関 事務局・東京消防庁)(以下「特別研究委員会」という。)のもとで検討を始めました。

特別研究委員会では、消防・救急無線のデジタル化のあり方について消防機関の総意を取りまとめ、郵政省に申し入れることにより、消防に必要な機能並びに周波数等を確保し、今後の情報通信の高度化及びマルチメディア化に的確かつ柔軟に対応できるようにすることを基本方針として、デジタル化に対する最適な通信方式の検討、消防・救急無線の標準的仕様、所要概算経費、実施スケジュールやデジタル化実施期間中における通信運用のあり方など移行に伴う課題等について検討しました。

 

 

 

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