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共通の目標とは、「目的」すなわち方針を具体化したものである。方針は上位層になればなるほど発信時にはきわめてあいまいである。しかし、進むべき方向と範囲は内包されている。これを具体化し、組織の構成員が行動できる用語すなわち行動用語化してはじめて実現される。具体化とは、何を、いつまでに、どのレベルまで以上の三要素を表した「特定の目的」である。

 

【行動用語化】目的・手段=名詞+動詞

すなわち、「〜を〜する」「〜に〜を〜する」「〜を〜に〜する」です。

その思考形式は

1]それは、思い切ってやめられないか……排除

2]現在のやり方を反対から見たらどうだろう……正と反、順序入れ替え

3]例外でもって管理できないだろうか……正常と例外

4]変わるものと変わらないものは何か……定数と変数

5]拡大拡張したら、縮小してみたらどうか……拡大均衡、縮小均衡

6]集めたり、散らしたりしてみたらどうか……集約、分散

7]結んだり、離したりしたらどうか……結合、分割

8]付け加えたり、取り去ったりしたらどうか……付加、削除

9]平行にする、直列にしたらどうか……平行、直列

10]違うところ、共通のところはどこか……差異と共通

パラダイム変化の時代では組織人一人ひとりが行動用語化ができるかがカギとなろう。また、「協働」は、組織の本質ともいえるものであり、それは、複数の人間が意識的に協力し合うきわめて人間くさい現象から派生するものといわれている。協働の基本は分業であり、その形成と維持はすべて組織の管理にあたるすべての人々に義務付けられているともいえる。協働の二つの要素として「行動」と「学習」があるが、前者は現在の協働の成果を決めるものであり、後者は将来の協働の可能性を決めるものである。

 

●管理者のポジショニング

中堅職員時代は、組織の実践部隊、第一線職員の中核の立場であったが、管理者時代ともなると人を指導する責任者、真のプロフェッショナルとしての立場となる。

パラダイム変化の時代には、特に管理者としての立場に即応した役割の再認識が是非とも必要である。役割は、割り当てられた役目、それぞれの立場で果たさなければならない任務である。それには、二つの役割がある。

一つは規定された役割すなわち役割の獲得であり、もう一つは規定されていない役割すなわち役割の創造である。前者は組織の方針から自分自身に期待されている行動様式を感じとる役割であり、後者は自分自身の個性、能力、経験を如何に活かすことができるかについて考え組織にとって有効な行動様式を創り出す役割である。今求められているのは後者の「役割の創造」である。

一般的に管理者の役割は、下図のように示される。

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●組織人に求められる能力構造

パラダイム変化の時代には、管理者も含めてこれまで以上に専門能力の土台ともいうべき基本動作と基礎態度をしっかりと習慣化しなければならない。管理者はこれらを認識し、率先して行動に移さねばならない。なぜなら、管理者がもっとも実行していないことであり、率先して習慣化していなければ組織は機能しなくなるからである。

基本動作とは、働く周囲の人を働きやすくする動作であり、報告、連絡、受命、書く能力、チームワーク、人間関係などである。これらを仕事の基本すなわちまめに伝え合う、よく確かめる、けじめをつけるの三つを念頭に行わなければならない動作である。

基礎態度とは、自らを高めようとする態度であり、自主思考・提案、検討、諦視、傾聴、謙虚、自己直視、自主管理である。提案は、「どうしましょうか」といわない、諦視は「できません」といわないことである。自己直視は自分の強み・弱みを知るということである。

 

 

 

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