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知多南部消防組合消防本部 (愛知)

 

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当消防本部は、愛知県知多半島南部の南知多町と美浜町の二町で構成する組合消防である。管轄地域は、東は三河湾、西は伊勢湾に面し半島先端と沖合いに浮かぶ篠島、日間賀島などからなり、三河湾国定公園に指定されている。

東海随一の海水浴場と緑豊かな自然環境や温泉を活かした観光レクリエーション地帯で、四季を通じて県内外から年間六〇〇万人を越える観光客が訪れ、賑わいを見せている。

消防本部発足は昭和五四年四月一日で、現在一本部、一署、消防職員数七一名と二消防団、一八分団、九四二名の消防団員とともに、管内面積八四・六?q2、人口四八、七七八人の安全と暮らしを守り、日夜災害のない地域づくりに努めている。

 

水難救助体制の整備

海水浴客や釣り客等の水難事故が多いことから、昭和六〇年に水難救助隊を結成した。毎年他本部との合同訓練を含め年間二〇回の訓練を実施(写真)し、隊員の技術、技能の向上を図っている。また、より充実した救助活動を図るため、平成五年に水中無線電話装置を導入し、広範囲の検索活動に威力を発揮している。いざという時に折りたたみのボートも備え付けてあり、現在では潜水士の資格者も二五人になっている。

 

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安心できる観光地を目指して

ホテル・旅館等が多く施設数は県内で名古屋市に次ぐ数(宿泊施設三三三、表示マーク一二七)となっている。訪れる観光客が安心して宿泊できる観光地を目指し、表示マーク等の宿泊施設の立入検査時に、夜間体制における避難訓練を指導するなど防火査察に重点を置き、予防課職員が一丸となって査察を実施している。

 

腹話術及び落語による防火普及

幼年期からの防火教育に主眼を置き、職員が腹話術による防火教育を積極的に実施している。また、高齢者に対して効果的な防火PR方法がないかと思案していたところ、職員の中で落語を趣味としている者がおり、平成三年から老人会を中心とした防火落語(写真)を実施して、大変好評を得ている。今では他の消防本部やさまざまな団体から引っ張りだこである。ちなみに芸名は、「磯下家妻恋」で、最近は「槍田家志ょ朝」と名乗っている。歌って踊って落語のできるインパクトがある消防士として新聞誌上でも紹介され、本人も「独学で始めた落語ですが落語の仲間やさまざまな人の交流の中で、一段と自分自身を磨き、仕事の中で少しでも防火意識の向上に役立てるよう頑張ります」と張り切っている。

 

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日頃の訓練と消火栓の整備

当本部管内の消火栓は立ち上げ方式で、数一〇mおきに計画的に整備がされており、他の都市では該当例がないと思われる。ホースと筒先が近くに揃えてあり、消防団員のOBも多く、また、住民にも防災訓練指導を行っているので、火事だといえば誰でも初期消火が出来る体制がとられている。

 

心・技・体の充実でサービスを

最後に松田消防長は、「職員の資質も高く住民の信頼も厚い。更に心・技・体を充実させ、住民の視点で物を考え、いかにしたら住民の信頼を得られるかを念頭に、また、常に問題意識を持ちながら今後の人事交流等を踏まえ新しい発想で取り組んでいきたい」と結ばれた。

(飯塚文治)

 

 

 

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