救助隊は、現場到着後直ちに車上照明器具で状況を確認した。先着救急隊の隊員二名は橋下の女性にCPRを実施、雪崩等の二次災害の危険性を考慮しながらロープ、バスケット担架を携行し現場へ向かうが、積雪が胸部まであり救出路の確保が必要となり、救助隊三名はスコップで救出路を確保しながら現場に到着した。
その後、救出ロープを展張しバスケット担架に収容、支援隊及び警察官の協力を得、引揚げ救出した。
他五名の負傷者はトリアージ実施後、順次到着した救急隊により選定病院へ搬送された。
四 おわりに
本事例は、山岳部による悪天候の中での救急救助活動であった。現場到着までの時間は要したが、先着救急隊の的確な判断、要請体制が行われ、応急処置、救出経路の選定、雪崩警戒隊員の配置が迅速に行われた。
今後、ますます複雑多様化するであろう救急救助災害に対応するためにも、今回の事例を教訓とし、指揮命令体制及び関係機関等の連携の強化、又固執することのない救出方法が肝要である。
全国の消防機関相互による広域応援体制が創設された今日、区域を越えた災害にも適切に対応できるよう努力したい。
(八矢浩祥)
予防・広報
焼死者『ゼロ』の更新をめざして
稲城市消防本部(東京)
はじめに
本市は東京都の南西部で都心から南西約二〇キロメートルに位置し、住宅都市として発展をしております。
人口は六五、七四四人、管内面積一七・九七平方キロメートルで、消防体制は稲城市消防本部職員六三名の一本部、一署と消防団員一四七名の体制で市民の安全に日々努力しております。
一 市民に密着した消防行政
当消防本部では市単独消防のフットワークの良さを生かしてあらゆる市民や市民組織の中に積極的に飛び込んで消防施策を展開しておりますが「自分達の地域は、自分達の手で守る」をキャッチフレーズとして、「市民の感性で考え・市民のニーズに合わせて市民の役にたち感謝される仕事をする。」をモットーに日々業務に取り組んでおります。
予防業務を含む全ての業務を三部制勤務シフトの職員が担当しておりますので、自治会や自主防災組織が行う震災訓練の事前打合せには市役所防災担当者と共に深夜まで職員が参加して必要なアドバイスを行っておりますし、いつ・どこでも、初期消火訓練・自衛消防訓練・救急処置訓練等の指導を行っており、日曜祭日には特に市民対象の訓練も多く予防検査業務を行うこともあります。
また、各種防災関係団体の活動も活発で、事業所会員三〇〇名の災害防止協会、会員数一三〇名の婦人防火クラブ、会員数八〇名の少年消防クラブ等が多彩な事業を展開しております。
特に婦人防火クラブの活動は活発で、これまでに全国婦人消防操法大会に四回出場し、入賞三回、優良賞一回を受賞するなど輝かしい成果を挙げております。
更に、住宅火災が発生した場合は、昼夜を問わず福祉部の管理者が現場に出動して被災者の救援対応を行う他、市長自らも現場に駆けつけて被災者への見舞や消防職・団員を激励し、消防関係者の士気の高揚に大きく貢献しております。
このように行政の連携の良さは市民にも大きな評価を得ており、これも単独常備消防ならではと自負しております。
二 親子で学ぶ火災予防“消防フェスタ99”
当消防本部では、楽しみながら防災について学んでもらおうと春の火災予防運動の一環として一年おきに消防フェスティバルを実施しております。
今年は、三月一四日(日)に庁舎周辺の市役所駐車場において、災害防止協会員、婦人防火クラブ員、少年消防クラブ員及び消防団員等二〇〇人の協力を得て、“消防フェスタ99”を開催しました。