救急・救助
悪天候の中での救急救助活動
西村山広域行政事務組合消防本部(山形)
はじめに
西村山広域行政事務組合消防本部は、山形県のほぼ中央に位置し、西に出羽三山の霊峰月山、湯殿山、磐梯朝日国立公園の朝日連峰、北に葉山の山並みが連なり、山形県の「母なる川」最上川が豊かに流れ、若鮎踊る寒河江川、月布川、朝日川の清流に囲まれた自然豊かな環境にあり、さくらんぼやりんご等の果物が豊かに実る地域でもあります。
当消防本部は、寒河江市・河北町・大江町・朝日町・西川町の一市四町から構成され、管内面積九三五・三九?q2、人口約九四、二七〇人を管轄している。消防体制は一本部・一署・四分署、職員一二〇名で消防の任に当たっている。平成元年には山形自動車道が管内まで延長され、更に平成一一年度中には、管内を横断する予定で高速交通網の発展による災害の複雑多様化が危倶されることから救急救命士の養成と並行し救急、救助の高度化を図っています。
ここで紹介する事例は、出羽三山の一つである月山を横切って、内陸と日本海側を結ぶ自動車専用道路の橋上において、普通RV車と四tトラックが正面衝突した。
RV車の後部座席に乗っていた二四才女性が投げ出され、橋下一三メートルに転落した救急救助事例である。
一 発生日時等
一
発生日時
平成一一年二月四日(木)
二二時四五分頃
二
発生場所
山形県西川町地内
自動車専用道路 「月山新道」火打石沢橋上
三
気象状況
天候 雪、気温 氷点下一五℃、風向 北西、風速 ○・六七m/s
冬型に関する山形県気象情報第三号発令中
四
時間経過
覚知時間 二三時〇〇分
現場到着
西川分署救急隊 三名 二三時二八分
高規格救急隊 三名 二三時四三分
指揮隊 三名 二三時五四分
救助隊 五名 二三時五四分
支援隊(ポンプ車)四名 二四時〇三分
大江分署救急隊 三名 二四時三〇分
五
死傷者の状況
死亡一名(二四才女性)
重傷一名(二一才女性)
軽症四名(二〇才男性二名)
〃 (二一才男性)
〃 (二四才男性)
六
その他の機関
警察署 六台 一三名
道路維持管理事務所 二台 四名
二 事故発生の状況
事故発生場所は、緩い下り坂となっている。下り車線走行の普通RV車がスリップしてセンターラインをオーバーし、対向してきた四tトラックと正面衝突後、橋欄干に数回激突し停車した。
事故のはずみでRV車の後部ガラスがはずれ、後部座席に乗っていた二四才女性が車外に投げ出され、一三メートル下の沢に転落死亡した。
三 活動概要
「月山新道で交通事故発生」との通報により、西川分署救急隊に出動を指令、第二報により「現場で行方不明者有り」を確認、指揮隊、本署救助隊、高規格救急車を出動させた。
事故現場は、氷点下一五℃と冷え込み、路面は圧雪、凍結状態であり、現場到着に時間を要した。
先着した救急隊は、負傷者六名、内一名が急傾斜橋下の沢に転落しているのを確認し、救出には二メートル以上の積雪と急傾斜地であることから、困難が予想され救命処置が必要であると判断、本部へ支援隊及び救急隊の増隊を要請した。