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化学車での異種泡消火薬剤使用後の水洗浄時における凝固物の発生について

姫路市消防局(兵庫)

 

一 情報提供趣旨

姫路市内の工場火災により、出動した化学車の残量薬剤を水洗浄した際に凝固物が析出し、同車両のポンプ機能が使用不能となった事案が発生しました。

車両はポンプ車メーカーにより凝固物を排除し復旧しましたが、使用する薬剤によっては、今後も同様な事案が発生する危険性があるため、事案内容を情報提供します。

 

二 火災状況について

平成一一年二月六日深夜、姫路市内において発生した工場火災で、鉄骨スレート葺き延べ一一六、〇〇〇m2内の冷間圧延設備(三五〇m2)の冷却用油が炎上、壁体・屋根一、五〇〇m2が焼損して五時間後に鎮火しました。

消火活動にあたっては、左記1]の大型化学車の薬剤を使用後、2]〜5]の薬剤を順に送液し消火しました。

1] 消防局〜大型化学車 積載薬剤

(AGFF・メガフォームAGF)

一、八〇〇ℓ

2] 事業所〜泡原液搬送車 積載薬剤

(合成界面泡・スーパーフォーム)

四、〇〇〇ℓ

3] 消防局〜泡原液搬送車 積載薬剤

(AGFF・メガフォームAGF)

五、〇〇〇ℓ

4] 事業所〜泡原液搬送車 積載薬剤

(合成界面泡・スノーラップH)

二、〇〇〇ℓ

5] 事業所〜ドラム缶四本

(合成界面泡・スーパーフォーム)八○○ℓ

合計一三、六〇〇ℓ

 

三 障害発生状況について

帰署後、大型化学車を水洗浄したところ、薬剤タンク・水タンク及び配管内にガム状の凝固物が発生し、更に、多量の水で洗浄を続けるとその凝固物は大きなボール状となり配管全体を閉塞し、化学車のポンプ機能が使用不能となりました。

ポンプ車メーカーが、温水で高圧洗浄しながらヘラによる手作業で付着した凝固物を除去し、一〇日間かけて修理しました。

 

四 実験結果について

凝固物の発生は、異種泡消火薬剤同士の混合による非水溶性物質の生成と推定され同火災で使用した三種類の薬剤(メガフォームAGF、スノーラップH、スーパーフォーム)の攪拌実験を原液同士とそれに水を混合させて実施しました。

(1) 泡消火薬剤の原液での攪拌

 

007-1.gif

 

1]〜4]の原液同士での実験では、原液外観に異常は認められませんでした。

(2) 泡消火薬剤の原液に水を混合させて攪拌

 

007-2.gif

 

1]〜4]の実験では、水混合液外観をみると4]は透明で異常は認められませんでした。しかし、1]・2]・3]では凝固物が認められました。

 

 

 

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