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消防広域化推進事例

〜消防力の強化と住民とともに地域を守る消防体制を目指して〜

新潟県西部広域消防事務組合消防本部  総務課副参事 斎藤 純郎

 

はじめに

自治省消防庁では、消防広域化の機運を醸成するため、平成一〇年度から全国各地で「消防広域化推進意見交換会」を開催しています。当組合も推進事例の一つとして取り上げていただき、各地でお話をしていますが、今回は、その一端を紹介いたします。

当組合は、新潟県の中央部に当たる県央広域市町村圏内にあり、圏域の西側に位置する西蒲原郡吉田町、分水町、岩室村、弥彦村及び三島郡寺泊町の五町村で構成されています。平成五年の一一月から消防広域化事業に取り組み、平成九年四月一日、吉田町、弥彦村、岩室村の三町村で構成する西蒲原郡南部消防事務組合と単独消防であった分水町及び寺泊町の三消防本部を統合し、新潟県西部広域消防事務組合として発足しました。

消防の広域化はメリットがたくさんあり、取り組むべき価値が大いにあります。私たちの事例も様々な苦難があったにせよ、今日を迎えると、町村境界にとらわれずに最短距離で出動体制を組むことが可能になるなど、住民に直結する消防広域化のメリットが発揮されています。

 

一 管内の概要と消防広域化事業の発端

管内は、西側が日本海に面し、東へ転じると弥彦山や国上山などの山並みを越えて穀倉地帯が広がる越後平野に至ります。南側には、信濃川から日本海へ流れる大河津分水路が横たわっており、海あり、山あり、大河あり、平野ありと、様々な地形から成り立っているため、消防防災体制も多岐にわたっています。

産業面では、平野部に工場団地や商店街、住宅団地が集中するとともに、弥彦山の麓には、ホテルや旅館が立ち並ぶ温泉街が、また、日本海側には、海水浴場や民宿、リゾートホテルが集積する観光地があり、多種多様な防火対象物が存在するため、高度な予防業務や多様な警防戦術が求められています。

さらに、国道一一六号線と二八九号線が交差する交通、物流、観光の要衝であるため、交通事故が多発しており、救急出動や救助出動も増加の一途をたどっています。

このように管内の情勢は、年々複雑多様化する一方で、消防力を強化する必要性に迫られていました。

しかしながら、はしご車や救助工作車、高規格救急車などの特殊車両を配備し、それに伴う人員配置を図ろうにも財政規模の小さい自治体では対応は困難な状況にありました。

 

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■管内及び組合の概要

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※人口、世帯数及び職員数は、平成11年4月1日現在

※火災及び救急件数は、平成10年

※予算規模は、平成11年度予算額

 

 

 

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