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消防最前線

 

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火災

産業廃棄物中間処理場火災

平田市消防本部(島根)

 

はじめに

当市は、島根県の北東部に位置し、市域の大部分は中国地方有数の穀倉地帯、出雲平野で占められている。周囲は、北に季節毎に表情を変える日本海、東に日本有数の汽水湖宍道湖、南には「やまたのおろち伝説」の一級河川斐伊川が東流し、西は出雲市及び大社町と接し、自然に恵まれ四季折りおりの風情に富んだ人口三万余人、面積一四二?q2の風光明媚な田園都市である。

近年は、「新しい都市核の形成」「新しい産業核の形成」「新しい交流動線の形成」「新しいカントリーライフの創造」「笑顔あふれる生活空間の創造」の五つの政策軸を中心とした「生活創造都市構想」を策定し、その実現に向け様々な事業を進めている。

消防体制は、一本部・一署、職員数三六人、消防団一一分団、団員数四五四人である。

平成七年の住宅を数棟焼損した火災を契機に、「めざせ無火災三六五日」を合い言葉に日夜防災の任にあたっている。ここ数年は火災発生件数が四〜五件で推移している。

 

一 火災の概要

(一) 火災発生日時

平成九年一二月一〇日一七時一〇分頃

(二) 覚知日時

平成九年一二月一〇日一七時四一分

(三) 発生場所

産業廃棄物中間処理場

(四) 気象状況

天候曇り・気温○・九℃・湿度八四%・風向西北西・風速六m・風雪、波浪、雷注意報発令中

(五) 被害状況

車両一台・廃材三〇m3

(六) 出火原因 焼却炉

(七) 出動車両及び人員

消防署 水槽付ポンプ車等六台二九人

消防団 小型動力ポンプ五台八一人

 

二 施設の概要

火災のあった施設は、産業廃棄物中間処理施設で、そこでは紙屑・木屑及び繊維屑等を一旦集積し、その後焼却処分を行っている。

敷地は約二、五〇〇m2あり、焼却設備や事務所がある。

焼却施設は、一次燃焼室(幅四・五m×奥行き二m×深さ二m)・煙道(幅二m×高さ二m×長さ二m)及び二次燃焼室(二・五m四方)からなっている。一次燃焼室は温度が九〇〇℃になると自動的に散水装置が作動し温度を下げるようになっている。木屑等を一次燃焼室で焼却し、さらに二次燃焼室で煤煙を焼却する。投入口は幅四m×高さ三mの鋳鉄製口で蓋はスライド式鋳鉄板である。この他にブロック造りスレート屋根付きの小さな灰置場が一棟と小さな事務所が一棟離れて建っている。また、特別に防火のための囲いを設けての集積場所はなく野積み状態であり、施設の消防用設備等は消火器具が設置してあるのみである。

 

三 活動状況

通報後、消防署から水槽付ポンプ車等が六台出動するとともに地元消防団員を招集した。夕闇迫る時間帯を考慮し照明のため救助工作車も出動した。

投入口から三m離れた場所に野積みしてある解体家屋材が燃えているのを発見した従業員が、約八〇〇m離れた本社事務所へ帰り、そこに居合わせた社長以下三名の従業員へ火災を知らせた。すぐに現場へとって返し、消火を試みたが手におえないとみて、現地から携帯電話で消防署の一般電話へ火災を連絡したため通報が大幅に遅くなったものである。

消防隊の現場到着時、火勢は最盛期であり、従業員が水道の撒水用ビニールホースで消火作業中であったが効果がない状況であった。

 

 

 

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