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濃霧発生時における「磐越自動車道路多重追突事故、救急救助隊出場せよ !」

会津若松地方広域市町村圏整備組合消防本部(福島)

 

はじめに

会津若松地方広域消防本部は、福島県の西部にあり、会津若松市を拠点都市として一市九町四ヶ村で構成されている。

圏域の中心部である会津若松市から首都東京まで約三〇〇?q、県都福島市まで約一〇〇?qの地点であり、その面積は福島県総面積の約一三・九%を占める一、九一四?q2を有する。

地勢は、中心部の会津若松市、北会津村、河東町、会津坂下町、湯川村、会津高田町、会津本郷町、新鶴村が平坦な会津盆地にあり、盆地の中央を一級河川阿賀川が南北に縦断している。圏域の東部の猪苗代町、磐梯町は古くからうたわれる磐梯山の麓に位置し、西部の柳津町、三島町、金山町、昭和村は東西に山脈がはしり、豊富な森林と只見川水系の水力発電の各資源を数多く有している。また、圏域の東部は日本で三番目の大きさを誇る猪苗代湖に接しており、リゾート地として全国でも有数の観光地でもある。

当消防本部は、昭和四七年単独消防本部から組合消防本部となり、一本部・四署・一分署・七出張所で構成され、現在職員数二七三人で一四市町村(人口約二二万三千人)を管轄している。

ここで紹介する事例は、全国五位の供用延長を誇る磐越自動車道路(福島県いわき市〜新潟県新潟市)(平成二年一〇月一部供用開始)で、初冬から霧の発生が多い局地的な地域で一六台が関係する多重追突事故が発生、三二人の死傷者を負った県内の高速事故としては過去最悪の惨事となった救急救助活動事例である。

 

一 事故概要

(一) 発生日時

平成一〇年一二月一日(火)午前五時五五分ころ

(二) 発生場所

磐越自動車道路上り線一二二・七キロポスト

福島県北会津郡北会津村大字真宮字大堀端地内

(三) 気象状況

天候晴・気温一・四℃・湿度九八・二%・風向風速 静穏

(会津若松地方広域消防本部指令室 一日午前六時観測)

(四) 時間経過

覚知 六時〇三分

現場到着 六時三五分

要救助者救出完了 八時三三分

活動終了現場引き上げ 一〇時○○分

(五) 出動状況(一四隊 四二人)

救急車 五隊一五人

救助工作車 一隊 三人

ポンプ車(タンク車) 二隊 八人

ポンプ車 一隊 二人

指揮車 一隊 四人

人員搬送車(M・バス) 一隊 三人

広報車 三隊 七人

(六) その他の車両

高速道交通警察隊  一五台三〇人

道路公団管理事務所  五台一五人

〃交通管理  三台 六人

(七) 救出搬送死傷者の状況

死亡 二人(男三三歳・五一歳)

重傷 四人(男二七歳・三九歳・四三歳・五六歳)

軽傷 二六人(男一四人・女一二人)

 

二 事故発生概要

本件は、当日午前五時五五分ごろ、高速自動車道(暫定二車線区間)で、大型トラックと乗用車の追突、大型トラック同士の追突、定期バスを含む追突事故が加わり、約三〇〇mにわたり、一一分間のうちに四か所で追突が発生した事故である。

最初の事故は濃霧のために徐行した乗用車に後続の大型トラックが追突。その数一〇m後方でこれを避けようとした後続の大型トラック同士が、そして乗用車を含む六台が次々に衝突。

さらに、第二現場の事故で停車した大型トラック同士の追突に定期バスが衝突。さらに安全確認のため停止していた二台の大型トラックの後方で、止まろうとした大型トラック同士が追突し、そこに乗用車が追突した。さらにそこに大型トラックが二台追突してきた事故である。追突車両の中には、時速一〇〇キロ以上で走行していた車も数台あったという。

事故現場は、阿賀川と宮川に挟まれ、会津盆地の中でも特に霧が発生しやすい地域で、事故当時も局地的に霧が出て視界は約一〇mから三〇m程度だったが、速度規制はされていなかった。

 

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