日本財団 図書館


019-1.gif

 

下五島地域広域市町村圏組合消防本部 (長崎)

 

019-2.gif

 

本組合消防本部は、長崎港から西方海上約一〇〇km、東シナ海に浮かぶ五島列島の西南部で、五島列島最大の島「福江島」にあり、福江市を核とした富江町、玉之浦町、三井楽町、岐宿町の四町と奈留町(奈留島)の一市五町で構成されている。

気候は対馬暖流の影響を受けて温暖であるが、台風常襲地帯でその被害は少なくない。しかし、青い海と緑の島々が織り成す豊かで美しい自然環境は昭和三〇年三月一六日、西海国立公園の指定を受けている。

古くは大陸に夢とロマンを求めた遣唐使船の「旅立の島」として、また、迫害を逃れて海を渡ったキリシタンの「安住の地」として歴史にその名をとどめている。

消防本部の発足は、昭和四八年四月で管内面積四二〇・一七km2、人口五一、二九五人で、現在一本部・一署・六出張所・職員九三人と六消防団一、六八一人の消防団員が一丸となり、安全で安心して暮らせる地域づくりに努めている。

 

★ 福江大火

昭和三七年九月二六日未明……東浜町大波止海岸通り付近から発生した火災は、おりからの強風にあおられ、またたく間に商店街や官公庁など市街地の大半を焼き尽くした。

焼失戸数六〇四、被害世帯八一一、被災人員三、九三六、損害額約四〇億円、戦後、県下では最大の火災となった。

当時市の中心部は、木造住宅密集地に狭い道路、強風に水利の便の悪さ。消防力も不十分で、消火活動も困難を強いられたが、この火災を教訓に、防災機能、将来の交通量、美観保持など諸要素をもとに、新しい町づくりが進められた。

災い転じて福となした街づくりは、全国的にも高い評価を受け、建設省は、「離島における近代的モデル都市」としている。

 

★ 山林火災で動力噴霧機が大活躍

多くの人員・資器材が必要であり、消火活動の困難性等強いられる山林火災対策として、農業用の動力噴霧機を活用した防ぎょ戦術を展開している。これは、少量の水で効果が高く、軽量高圧ホース等を併用していることから、隊員の身体にかかる負担を軽減し、現在多大な成果を挙げている。

 

★ 消防長のモットー

福江市長で下五島地域広域市町村圏組合管理者である木場彌一郎氏は、平成九年四月一日付けで消防長事務取扱を兼務。個人・家庭レベルでは対処することのできない災害に対する防火体制、救急救命体制の充実について、率直に現場職員の声に耳を傾け、安全な社会環境と地域住民の生命確保に意を注がれている。

座右の銘は、

「吾れ唯、足ることを知る。」

 

★ 現状・今後の方針

・消防施設・設備の現有状況は、国が示す「消防力の基準」を上回っているが、その運用人員の絶対数は不足している。このことから、人員増が急務の課題であるが、構成市町の財政事情は大変厳しい状況にあり、現実的に不可能である。よって、広域消防発足以来、時代の流れとともに道路網の整備、資器材の充実等積極的に取り組んできた。

今後もより一層推進していくが、併せて市町村合併ということについても考えていかなければならない。

・救急隊員の教育強化(人材育成)

救急II課程終了者には毎年四日間、救急救命士については一カ月間の病院実務研修を行い、技能等の向上を図る。今後は種々災害に即応できる隊員の育成に努める。

・高齢化対策

現在、職員の平均年齢は四二・二歳と大変厳しい実情にあり、幅広い見識を身につけるための方策として、人事交流の推進、資器材の軽量化、体力の維持管理、健康管理について計画的に指導していく。

(河野宏治)

 

019-3.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION