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一四時〇五分には同団に第三出動を指令する。また盛岡地区消防本部では警防活動本部を設置した。

さらに、一四時二〇分には大規模な災害になるおそれがあると判断し、災害警戒本部を災害対策本部に切替え、役場職員を動員して災害の対応の強化を図った。

その後、火勢は北側にさらに拡大したため、一六時〇四分現場指揮本部を北側の隠里寺に移動するとともに、災害対策本部、消防本部・消防署、消防団本部、警察、自衛隊、応援部隊等防災関係機関の幹部が一同に集まり指揮体制を確立した。

一方、岩手県防災ヘリは、一三時二六分に花巻空港を離陸して、偵察活動を行うとともに、消火活動を開始した。

また、一三時五五分に自衛隊の災害派遣要請(空中消火)を、一四時三八分には地上部隊の派遣要請を行い、消火活動体制の強化を図った。さらに、矢巾町消防団及び盛岡市消防団に応援出動を要請し、消火活動を実施した。

岩手県防災ヘリの情報等により、最終防御線は、東北自動車道及び町道新山線と判断し、応援部隊を配置して予備注水を行うとともに、飛火警戒体制をとった。特に、新山方面へ延焼中とのことから、テレビ局各社の中継所がある新山山頂を重要警戒地点とし、町道新山線南側の中の沢林道にも部隊を配置して予備注水を繰り返し、二段構えの迎撃体制をとった。

火災は、一時東北自動車道東側の山林に飛火し、住宅への延焼危険が増大したが、応援部隊を含めた消防隊や道路公団の散水車による懸命の消火作業及び予備注水により、延焼拡大を防ぐことができた。

その後、昼夜を徹した消火作業により、翌三日一三時一〇分に鎮圧宣言をした。

しかし、発煙発火が相次いだことから、徹底した再燃防止活動を実施し、七日一六時〇〇分に鎮火を宣言した。

終わりに、六月一〇日に岩手県主催の火災防御検討会が開催され、関係防災機関からいろいろ反省点が指摘された。

特に、この火災は、二つの町と二つの消防本部にまたがって延焼拡大したことから、相互の情報連絡体制及び県の総合調整の不足や各防災機関が独自の地図を用いたことによる情報の共有の不備などがあげられた。

本火災の教訓を踏まえ、関係機関の連携が強化されるとともに、県内防災機関共通の防災航空マップの作製、山間部等の無線障害に備えた衛星携帯電話の整備、県内五箇所にヘリ燃料の備蓄、防災ヘリに赤外線画像装置の整備等が図られたところである。

(舘澤久)

 

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