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消防最前線

 

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火 災

大規模林野火災について

盛岡地区広域行政事務組合消防本部(岩手)

 

当広域消防は、岩手県の北西部に位置し、岩手県、秋田県及び青森県の北東北三県のほぼ中央部に位置している。

広域の中央部には、石川啄木や宮沢賢治がこよなく愛した岩手山がそびえたつとともに、清流北上川が北から南へ流れている詩情豊かなところである。

消防本部は、昭和四六年八月に盛岡市を中心として、岩手郡、紫波郡等の町村による一市一一町村をもって組合消防として発足した。管内の面積は、三、六四二km2であり、人口は、四八万人である。

現在の消防体制は、職員数が五四三人で、消防本部三課、四消防署、九分署、八出張所、一分駐所、一室である。

今回の火災事例は、平成九年五月二日、石鳥谷町・紫波町に発生し、三二三haを焼損した林野火災について紹介する。

 

一 火災の概要

(一) 出火日時

平成九年五月二日(金) 一二時一〇分頃

(二) 出火場所

石鳥谷町大瀬川地内私有林

(三) 覚知日時

平成九年五月二日(金) 一二時四八分

(四) 鎮圧日時

平成九年五月三日(土) 一三時一〇分

(五) 鎮火日時

平成九年五月七日(水) 一六時〇〇分

(六) 気象状況

天候 快晴、風向 南西、風速 八・二m/s、気温 二五℃、湿度 二九%

乾燥注意報及び強風注意報発令中

(七) 焼損面積

林野  三二三ha

(八) 損害額

林野等  九九〇、五七六千円

(九) 出動車両等及び人員

出動車両  五三四台

出動ヘリコプター  二四機

出動人員  四、七三一人

 

二 活動の概要

火災現場は、紫波消防署から南西約七・三kmに位置する山林で、そのふもとを東北自動車道が南北に縦断しており、紫波サービスエリアの西側に当たる地域である。

一二時一〇分頃、石鳥谷町(花巻消防本部管内)の大瀬川地内山林に発生した林野火災は、折からの強風にあおられ、隣接の紫波町(盛岡消防本部管内)片寄地区西側山林に延焼してきた。

紫波消防署では、一三時〇二分に紫波サービスエリアからの通報で火災を覚知し、消防ポンプ車等四台が出動するとともに、紫波町農協の有線放送により、消防団の出動を指令した。

現場付近に近付くと、石鳥谷町側の山林から猛烈な火炎が立ち上っており、峰続きの紫波町山林に延焼危険が大きいと判断して東北自動車道紫波サービスエリア北側に現場指揮本部を設置した。

ただちに消火活動を開始したが、風が強く火勢は拡大の傾向にあることから、一三時四四分紫波町消防団に第二出動を指令し、一四時〇〇分には紫波町山林火災災害警戒本部を設置して情報の収集と伝達に努めた。

 

 

 

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