延長状況については、ジャバラ折りの場合、一本から三本まではごく短時間で空気注入は完了したが、ジャバラ折れ部分が直線状になるまでに四分かかったことから、四本以上の延長となると、ジャバラの折れ部分が増加するため、船上においてホースの方向調整が必要となった。
そこで、ホース二本を一組としてシャットオフコックにより結合したホース八本を甲板通路上に延ばしておき、このシャットオフコック毎に消防艇のコンプレッサーから空気を注入していき、方向性を調整しながら延長したところ、ホース三本までであれば直線状に延長することが出来たが、四本以上となると海面上での風波の影響を大きく受けることとなり延長ホース部分に湾曲部分が発生した。しかし、本試験においては、先端部分にヘッドバルブを取り付け、注入した空気を逆噴射させるとともに、手元で方向調整を行うことで、延長ホース八本、直線距離にして約一三〇m〜一五〇m先までは延長することが出来た。(写真No.3参照)
さらに、消防艇から海上に投下した消防ホース五本に空気注入した後、送水し岸壁において放水を実施したところ、送水時にホースが海面下約五〇cm〜一m程度沈み込むものの水没はしなかった。(写真No.4参照)
三 竿状及びリング状簡易救命浮環の作成及び実用試験について
消防艇から、消防ホースに空気を注入することで竿状にし(以下、ホース竿と称する。)人命救助を目的として海上に投入した場合、簡単かつ短時間で伸長することができた。しかも、署員五名を海上における要救助者に見立てて、ホース竿を船上から伸長したところ、ホース一本で五名全員がつかまることができ、かつ、方向性の確保についても風波の影響を受けるものの、先端にマーカーブイを取り付けることで距離にして約三〇m、消防ホースで一本半分は手元で調整して確保でき、容易に要救助者を救助して収容することができた。(写真No.5参照)