次に、リング状ホース竿(以下、ホースリングと称する。)はホース本数の増加に比例して救助範囲が拡大し、ホース本数五本では直径約三二mのエリアとなり、さらに小型救助艇(モーターボート)でリング状に伸長することで、より迅速かつ容易に多数の要救助者を一挙に救助することができた。(写真No.6参照)
四 ホース筏の作成及び実用試験について(表5参照)
ジャバラ折りの筏については、ホース二本で作成した筏の空気注入時間を網状ホース筏についてはホース四本で作成した筏の空気注入時間を計測したところ、ジャバラ折りホース筏の場合、6Lボンベでは、注入圧力が五kgf/cm2と七kgf/cm2時にはホース内圧は四・六kgf/cm2までしか達せず、8Lボンベでは七kg/cm2時にはホース内圧は六kgf/cm2までしか達しなかった。他方、網状ホース筏では、ボンベ容量の差は無くホース内圧は注入圧力と同圧力に達した。
注入完了時間は、注入圧力、ボンベ容量が大きくなるに連れて速くなるが、網状ホース筏での8Lボンベ七kgf/cm2注入時に見られるように「折れ」の状態の差で若干比例していない場合が生じた。空気消費量は、6Lボンベではジャバラ折り、網状ともにボンベ容量を全て消費しているが、8Lボンベではジャバラ折りの七kgf/cm2注入時以外は残圧があった。また、ホース筏組み立て所要時間は、ホース二本による網状筏の場合、署員三名で二分〜三分以内で完成した。
ホース筏の実用試験では、ジャバラ折りホース一本の筏に立った場合、バランスが悪くなるため体を横にする等の措置が必要であった。ホース二本の筏では、面積的には大人四名が乗ればいっぱいとなり要救助者が一部水に浸かったが、これを二組み重ね合わせることで五名が乗っても十分浮力を保つことができた。