日本財団 図書館


平成一〇年度消防に関する論文 最優秀作品

消防用ホースを活用しての空気注入による水面上延長と多目的応用活用について

大阪市消防局

河野廣義

滝本弘美

小谷正範

 

第一章 考察目的と試験項目

 

消防艇の大容量の放水及び送水能力が、大震災発生時の消火・延焼阻止において大なる効果があることは、既に阪神淡路大震災で証明されている。

そこで、消防艇が接岸できず、沿岸から離れた海上若しくは河川から消防ホースを延長して送水しなければならない場合を想定して、消防艇積載のコンプレッサー又は空気呼吸器用ボンベの圧縮空気を消防ホースに注入することにより、容易かつスムーズに消防ホースの延長ができないものか、さらに、これ以外にも空気注入ホースの応用活用ができるのではないかとアイデアを巡らせ、次の三項目を本論の考察目的とした。

1] 消防車両等の吸水不能場所及び離島、湾ど等の消防艇接岸不能地域等、水面上のホース延長に支障をきたす地域における空気注入による効果的ホース延長方法と送水要領の検討

2] 海、河川、湖沼等における海難、水難事故に対応するための簡易救命ホース竿、簡易救命ホースリング及び簡易救命筏の検討

3] 油流出等の事故に対する大量送水システム用ホース(ドラゴンブーストユニット)及び消防用ホースのオイルフェンスとしての代用活用の検討

以上の考察目的に従って、下記の各試験を実施した。

なお、本試験に使用した主要資器材は、一五〇型空気呼吸器用6L・8Lボンベ、消防艇積載の空気コンプレッサー、空気注入用調節器(エアーソー用)等既存の資器材及び本試験のために独自に工夫した空気注入用ホースアタッチメントとヘッドバルブ(注入空気逆噴射弁)(写真No.1参照)並びに若干の廃物利用(タイヤチューブを利用したゴムバンド)を活用したものである。(写真No.2参照)

1] 陸上と海上での空気注入試験

2] 海上での消防ホース延長及び送水試験

3] 消防ホースの竿状及びリング状救命浮環の作成及び実用試験

4] 消防ホースの簡易救命筏の作成及び実用試験

5] 消防ホース及び大口径ホースの代用オイルフェンスの作成及び実用試験

 

003-1.gif

写真No.1

 

003-2.gif

写真No.2

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION