長野犯罪被害者支援センター設立の趣旨と経過
運営委員 酒井宏幸
長野犯罪被害者支援センターは、平成11年5月22日に設立されましたが、犯罪被害者支援の民間団体としては全国的には12番目の設立となります。犯罪被害者問題は、昭和55年、三菱重工ビル爆破事件などの大量殺人事権を契機として犯罪被害者等給付金支給法が制定され、翌年には(財)犯罪被害者救援基金の設立がありました。これにより若干ですが経済的援助が行われました。
しかし、精神面に対する援助はなされませんでした。
そんな中で平成4年には、東京医科歯科大学に犯罪被害者相談室が開設され、犯罪被害者に対する電話相談が開始されました。そして、松本サリン事件・地下鉄サリン事件・などの大量殺人事件や神戸での大震災を経て、被害者への精神面に対するサポートの重要性が認識され、全国的にも徐々に犯罪被害者支援活動が開始されるに至りました。
時を同じくして、警察も捜査・防犯活動だけではなく、犯罪被害者へのサポートが重要であるとの認識に立ち、全国的に支援活動をすべく組織化が進められました。
長野県でも平成10年7月、長野県警の音頭により、関係22機関が集まり長野県犯罪被害者支援連絡協議会が発足しました。
ここにおいて、犯罪被害者への力となりうる現実に即した実質的な活動ができないかを模索した結果、電話相談業務をボランティアによって行うことを目的とする、支援団体を設立することになりました。
この犯罪被害者支援センターの設立に当たり、全国各地の先行する民間ボランティアの活動内容を参考にしつつ、電話相談を担当するボランティアを募集しました。専門家の指導による研修を重ねた上で、半年間の準備を経て平成11年5月22日に設立、同年6月22日から電話相談業務を開始するに至りました。
本支援センターは、民間ボランティア団体として設立されたこともあり、会員ならびに賛助会員の会費によって賄われることになりましたが、そのため未だ資金的には心許ないものがあります。
電話相談活動は、年末年始を除く毎週火曜日・金曜日の午後3時から午後7時まで行われています。
本センターの活動を通じて犯罪被害者への社会的支援が発展することを期待するところです。
「よき隣人としての電話相談」の役割
運営委員事務局担当 山田千代子
現代は、いつどこで何が起こるか分からない社会です。天から降ってきたような事故や災難が突然私たちを襲ったら・・・。
想像するだけでも胸が苦しくなります。
そのような時、手を握り、悲しみを一緒に担ってくれる人がいてくれたらどけだけ救われるでしょうか。
犯罪に遭われた被害者を支援する電話相談は、まずそこから始まるのではないかと思います。
被害者は悲しみ、苦しみをきちんと受け止めてくれる人に出会った時、新たな生きる勇気が与えられるものと信じています。
長野犯罪被害者支援センターは、まだスタートしたばかりで、その役割を充分に果たすところまではいっておりませんが、今後よき隣人として頼りになる電話相談になるよう頑張って行かなければと思っています。