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「『RV車の情報、そちらにありますか?』で始まった1本の電話、それは交通事故の被害者の方からの問い合わせでした。近づいている示談の場に、少しでもたくさんの情報を携えてのぞみたいという気持ちが、早口の思いつめられた様な口調からもうかがえました。もしかして、情報が得られるかもしれないと考えられる機関を紹介しました。その後からは、相談者の方もおちつかれて被害者であると同時に、遺族にもなられたこの三年間の悲しみ、胸の痛みがゆっくりとした口調と共に伝わってきました。

相談室の存在意義を考える時、心のケアが主目的でその側面から被害者の方を支えることをベースに活動を行ってきました。しかし個々のケース、状況によっては何よりも先に情報が欲しい、緊急な対応が欲しいという相談もこれから増えてくると予想されます。そんな時に、相談者の力になって頂けそうな信頼できる関係機関をすぐに紹介できたらどんなにか心強く、安心されることかと思います。相談者自身の身の安全を確保することをまっ先に考えるような場合もあるかもしれません。そんな時もすぐに連絡がとれる、顔の見える関係機関があったらと考えます。もちろんどんな場合にも、その状況の中で被害者の方の心に寄り添う、心を傾けて聴くという原点は一番大切なものであると思いますし、それ抜きではありえません。

相談室がオールマイティーであるということは、なかなかむつかしく実現しにくいことだと思います。しかし、分業制で各々得意の分野を持ち寄り、多面的、複合的に被害者の方々を支援していくことが可能になれば時代の要請にもより深く応えられるのではと考えています。

RV車の情報、あの相談者の方は得られたのでしようか。」    (N.I.)

 

 

 

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