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「大阪被害者相談室の相談員となって三年が過ぎようとしています。

私は、ここでボランティア活動をしているという以前に、カウンセリングを学ぶ人に活動の場を提供して頂いているという気持ちで所属させて頂いています。研修に参加するたびに、自分の不感動さや無勉強を思い知らされ、自分はまだまだ“相談者の心により添って聴く”ということに程遠いなあと落ち込んだり、また、『あ、あの時のあの聴き方はあれで良かったんだ』と再確認して少し自信がついたりといったところです。相談を受ける中では、相談者の方から直接に激しい怒りの言葉をぶつけられることもあります。そんな時、相談員として返す言葉を持てず、ただ耐えて聴くという姿勢しかとれない状況に陥りがちです。ところがよく聴いているうちに、相談者のかかえている怒りの裏にあるとても淋しい気持ちに気づくようになり、受け入れられるようになっていきます。私たちが相談者の気持ちに寄り添って聴いてあげられるようになることが、相談者の方の力の回復につながることを、折々の研修を通じて講師の先生や相談員同士で確認しあっています。三月の研修は、西澤先生の『DVと子どもの被害』の講演で、怒りや恨みの裏にある悲しみを見ていくのですよ、というお話を、とても心に染み入る思いで聴きました。

今後もできるだけ研修には参加し、学者・研究者の講演を聴く中で、少しずつでも“相談者に話してもらえる相談員”になりたい、と思っています。これからも仲間の方たちといっしょに、日々研鑚を重ね、近い将来『ここに電話したら聴いてもらえる』と、受話器がいつも上がっている相談室となることを夢見ています。」    (B.A.)

 

 

 

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