最近の観光では、旅行業者の企画商品にとりいれられることが誘客成功の鍵をにぎるものであるが、関係市町村の要望がすべて満たされるとは限らない。広域的連携の事業主体においても調整に努め、工夫をしているが、現地調査の対象となったところにも、途中である自治体が脱落したものがあるほどで、むつかしい問題だ。アンケート調査で、事業開始にあたって問題点があった、多かったとするものが全体の約55.5%であったが、問題点として最も多くあげられたものが「構成団体間の意見調整」であり、それにつづく、「活動資金」、「人材」、「施設等のハード面」、「組織の形態」でも、団体間の考え方の差に基因するものが少なくない。
第三に、リーダーの重要性である。
地域づくり、とくに比較的小さな区域での、あるいは、特定のテーマに係る地域づくりでは、リーダーの資質と頑張りが、その成否を決定すると言われてきた。
この広域的連携についても、現地調査報告や委員座談会でも、リーダーについて多く語られている。地域づくりのリーダーは、通常の職制の場合とは異なり、時には、いわゆる「はみ出し人間」が"はまり役"であったりする。広域的連携のまとめに当る組織は、多くの場合、それほど大きくなく、ひとりひとりの担当者の熱意や才覚に成否が依存していることが多いであろう。その担当者をたばね、当局者や多くの住民の関心と行動を導き出すためには、リーダーの役割はきわめて重要で、人材発掘にはさらに努力が必要である。