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産業別の就業人口率の点では、第1次産業就業人口率が高い町村がほとんどで、産業の主力が農林業であることを反映している。熊本県の総就業人口の第1次・第2次・第3次産業別割合は、14%・26%・60%、宮崎県のそれは15%・27%・58%である。当該町村14のすべてが、第1次産業就業人口率で県のそれを上回り、第3次産業就業人口率で県のそれを下回っているのである。

構成エリアの殆どは山地といくつかの川によって刻まれた谷間から成っているため、道路網も極めて未発達な状態に留まっている。国道としては、ほぼ南北方向に走る445号線が、熊本市―御船町―矢部町―砥用町―五ケ荘(泉村)―五木村―相良村―人吉市を結び、北部では、218号線が東西に五ケ瀬村―蘇陽町―清和村―矢部町―砥用町―中央町を、南部では265号線と388号線が椎葉村―水上村―相良村―人吉市を、それぞれ結んでいる。

 

2. 九州ハイランド構想

 

(1) 背景と目的

 

すでに指摘したように、九州ハイランド活性化協議会は、熊本県の「九州ハイランド構想」を推進する主体として設立されたものである。その「構想」は、県のその担当部局である企画開発部地域政策総室の文書によると次のようである。

「九州ハイランド構想とは、阿蘇南外輪山から球磨郡に至る本県東部帯及び隣接する宮崎県の一部の九州の脊梁と言われる山間地域において、関係自治体が広域的に連携し、連なる山々、清流がそそぐ渓谷などの豊かな自然やそうした地域に伝えられている歴史・文化を新たな価値観の中で地域資源として見直し、環境との共生を考えた新しい地域観光として対外的に提供し、都市部の住民との交流を通して地域の活性化に繋げようというものである。」

「構想」の対象地域にある町村はいずれも、表3に見るように、国立公園、国定公園あるいは県立公園のエリアを構成しており、豊かな自然や歴史・文化の地域資源を有している。しかし、行政上の一体性はなく、これまではその活用による地域の活性化が広域的に取り組まれることはなかった。この「構想」は、この広域的地域を「九州ハイランド」と呼称し、「山間部における過疎対策の環として、1]地域の商品や生活文化といった固有の資源を活用し、地域住民はもとより都市住民にとって魅力を感じる地域づくりを、2]市町村が広域的に連携して取り組んでいく、という視点から、広域連携の実践施策として推進」(前出の県文書)しようとするものである。

 

 

 

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