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建物はダム御殿と呼ばれるほど立派である。95年(平成7年)4月には近代的な姿で灰塚小学校が開校された。いまその小学校の高みから「のぞみが丘」の家並みを眺める時、第三者にも、ここに至るまでの関係者の苦労がしのばれる。この「のぞみが丘」では、川に馴れ親しんだ生活を再建すべく、町内に小川を通し、集落から少しはなれた山麓に神社や墓地を移すなど、住民の意向を反映した生活環境づくりがなされている。

ところでダム対策は、1973年(昭和48年)に制定された水源地域対策特別措置法を受けて、82年から、生活再建対策と水源地域整備の二本立てとなった。このうち前者が、従来からの水没地住民への一般補償を拡充したものであり、「のぞみが丘」以下の生活再建地の整備がこれに当る。従来のダム対策はこれが主であった。これに対して後者の地域整備という方策が過疎地域の活性化にとっても新しい役割をになうことになった。灰塚ダムにおいても同様である。こうしてダム建設を核とする灰塚ダム水没地域再建実行計画が立てられ、実施されることになった。

 

図2 ダム流域と3つの生活再建地

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