この専門プロパー、組織の上では所属は別です。しかし、仕事の場は同じです。ここにおけるリレーションの問題、スムーズにお互いが、意見を交換できる状況、逐一研究し合う場が必要です。舞台について検討する機会をつくるべきだとおもいます。そのことによって小屋というのは、よくもなり悪くもなる。できあがった時から100%満足できる小屋なんてありえないと思います。日々その不都合を改良していくかそれの積み重ねなのです。それが何年かしてあそこの小屋は随分使いやすくなったという評価に返ってくるわけです。働く人達が、この小屋をどうやってより使いやすい小屋にするか安全に操作できる体制にするか、研究が必要ですし、少しずつ改良していく事が必要です。
8)【安全操作の為の物理的要因、時間的要因、人的要因―経済性と安全性】
『制作者』これは、その公演の要です。お金の管理、予算執行、公演に関する責任者です。それと創造者、演出家をはじめ美術プランナー、照明プランナー、音響プランナー等いろいろあります。これらと劇場・ホールを管理、運営する管理者。日本は制作と管理が分かれています。しかもこれは三者三様の利害関係があります。ものをつくるほうは、まず想像力をはたらかせる。制作者はお金を管理するわけですから、それを抑えにかかります。管理者は管理面に重点を置きます。ところが、そこで激しい駆け引きが行われる。常に反対の要素を持っていて、それで成り立っている。そういう時に、三者のバランスを考えることも大事です。安全の為にはある程度の出費も必要です。ですから、劇場の条件をわかっている創造者がいれば、お互いにもっと緊張関係もなくスムーズに仕事ができる。知恵をどこまで働かせるかという事が面白い舞台作りの楽しさとか、面白さというのはそこだと思います。いずれにしろ三者の関係を調整していくべきだとおもいます。
舞台で働くには、やはり無理があってはならないのです。一般社会並みのシステムをそこにはめこむと無理がくる。劇場、ホールの特殊性というか業種の特殊性を考えながら勤務形態を考えないといけない。そこでフレックスタイム式についてですが、自分の責任について集中する。舞台の安全の為にはその時にいかに集中度が高くなければいけないかということです。
その為には舞台が動いているそこに全てを集中する。そういう状況を働く人達に対し作らなければならない。本来はフレックスタイム式にしてもいい職場だと思います。仕込み時間に入っていればいい、下準備をして夜の本番を間違いなく作業する。自己の責任においてそこまで管理してあげる。そのかわり、本番中は脇見をしない、他の事は考えない。操作ボタンを押すということは、それだけ重要ですよということです。問題はどこかで意思疎通がかけることです。
一番肝心なのは組織というのは、トップが何を考えているのかという事が末端までいかに早く浸透するかだと思います。会館の運営に対してトップがどう考えているか、そういう事が具体的にわかってこそ現場の方は働きやすいといえます。だから常に、それが明確に伝わるようなことを心がけることが必要なのです。