マイクの吹かれとは、マイクロフォンに風や息などがあたって発生する「ぼこぼこ」といった雑音。またpやb、tなどの子音(破裂音)の発声時には、「ポコン」というポップ・ノイズが発生することもある。屋外で使用したり、マイクに近づいて発音すると生じやすく、これを防止するにはウィンド・スクリーン(風防)を装着すると良い。
マイクロフォンに不必要な音が混入することをかぶるという。収音しようとする楽器音以外の、他の楽器音などが入ることで、またかぶり込みとは、特にマルチ・マイクロフォン収音方式(各音源にそれぞれマイクロフォンをセットする方式)において、収音しようとする音以外の音がマイクロフォンに混入してしまう現象をいう。これを防ぐには遮音板を使うとか、指向性の鋭いマイクロフォンや、楽器の振動音を直接収音するコンタクト・マイクロフォン(DI)などを使う方法がある。また、ノイズ・ゲートを使用して、かぶり込みの音が目立たないようにすることもある。かぶり込みの現象をうまく利用すると、全体の融合音が収音できて、よい結果を得る場合もある。
録音・収録の場合、吊りマイク(つりまいく)<suspention microphone>を多く使用する。これは劇場で、舞台や客席の天井から吊り下げたマイク、またはそのための機構をいう。クラシックの録音や演劇の台詞などの収音に用いられる。3点吊り・2点吊り・1点吊りなどがある。主にクラシック音楽の録音・収録のメインマイクロフォンには、3点吊りマイクロフォン装置という、3本のワイヤーでマイクロフォンを吊り下げる装置が使用される。これは通常、ホールの客席前部の天井に設置されていて、手動または電動で3本のワイヤーの長さを調節してマイクロフォンを昇降する。クラシック演奏の録音やノイズ収音用のマイクロフォン、エア・モニタ用のマイクロフォンなどに使われる。
4. スピーカの使い方、スピーカーの使用
スピーカ<loudspeaker, speaker>は、音の電気信号を音波に変換して放射する音響機器である。一般的に、再生周波数帯域、ひずみ率、指向性、定格入力、能率、過渡特性などによって性能を評価する。略記号はSP。ホールで備品で催物を行うときは、
プロセニアム・スピーカ<proscenium speaker>
カラム・スピーカ<colomn loudspeaker>
サイド・スピーカ<stage side loudspeaker>
フロント・スピーカ<stage front loudspeaker>
ステージ・フロント・スピーカ<stage front loudspeaker>
ステージ・スピーカ<stage speaker>
シーリング・スピーカー<ceiling loudspeaker>
ウォール・スピーカー<wall loudspeaker>等を使用する。なお、劇場・ホールによっては、プロセニアム・スピーカの代わりにフライング・スピーカーを設備している。フライング・スピーカー<flying speaker system>は、ステージ上部に吊り下げて使われるスピーカで、客席との距離を比較的均等にすることができることから、均一な音圧と音質を得る点では、有利である。