2. 音の性質
音とは何か? ; ギターの弦をはじくと弦が振動しているのが見える。太鼓を叩いても太鼓の皮が振動しているのが見える。これらの動きを見ると分かるように、振動とは周期的な往復運動である。しかし振動はこのように目に見えるものとは限らない。むしろ目に見えない振動の方が多い。机を叩いても椅子を叩いてもその振動は目には見えない。にもかかわらず音がするのは、机や椅子が振動しているからだ。実際のところ、我々の身近にあるもので音のしないものは珍しい。しかも皆、別の音がする。物体は固有の振動パターンを持っていてそれが音の違いになる。しかし振動が音として耳に届くためには、振動を伝えてやるものが必要だ。音の場合は空気がその媒質の代表である。もちろん空気以外でも、水の中で音が聞こえるのは水が媒質になっているためであるし、壁を通して声が聞こえたりするのも壁が媒質になっているからだ。逆に空気も水もないところ、例えば真空中では、どんなに物体が振動しても音は聞こえない。一般的には空気によって振動が伝わることがほとんどなので、これからの話は空気中に伝わる振動に限定する。
空気を伝わる振動 ; 空気中で振動が発生すると、その周りの空気が伸び縮みして、次々に振動が伝わっていく。普通、空気は大気圧という一定の圧力を持っているが、空気が縮む(圧縮される)と気圧が上がることになり、逆に空気が伸びると気圧が下がることになる。人間はこのような微小な気圧の変化をキャッチして「音」と認識する。
音波<sound wave> ; 空気中で物体を叩いたり、擦ったりすると、その振動によって、その周辺の空気の圧力が変化する。この圧力の変化は、波のように、一定の早さで空気中を伝わっていく。この波を音波という。
音速<velocity of sound> ; 音波が空気などの媒質の中を伝わる速度のこと。空気中の音速は、気圧や温度によって影響を受けるが、1気圧では、音速v=331.5+0.6t(m/s) t=温度となり、平均的な気温15度では、約340m/sとなる。なお音速は、他の媒質の中での音速はもっと早く、空気より軽いヘリウム中では970m/s、海中(水中)では約1,500m/s、コンクリートでは約3,000〜4,000m/s、杉の木で約4,000〜4,900m/s、鉄では5950mといったところだ。また遅い方ではゴムの34〜70m/s、グラスウールは密度によって異なるが、数十m/s程度になる。
そして、波長の長い低音の方が、高音より音速は遅い。低音の周波数の方が、音速は遅いので、高音帯域に比べて、音源に近い空間での滞在時間は長くなる。残りやすい低音域での調整をする。また低温は調整すると中高音にも影響をあたえる。いいかげんでなく、良い加減の調整を。
音の三要素 ; 音の性質を決める要因の最も基本的なもので、大きさ、高さ、音色のことである。大きさは、音の強さによって決まる。高さはその音を構成している基音の周波数で決まる。音色はその音の波形である。これらの相互関係で音の性質が決まる。たとえば、音の高さの基音が同じでも音色が違うと、異なった高さに聞こえてしまうことがある。