日本財団 図書館


何故このような状態に作られたかという、様々な理由があるんですが、このような例はいっぱいあります。日本でなくて、ヨーロッパの劇場は綱元操作が2階です。フライマンと言いまして必ず綱元操作をするだけの人間、フライマンが3人位いましてすべてキューです。キューオンリーです。下からキッカケがこない限り彼らは何もしません、舞台は全く見えなくて下からのキッカケだけで2階のスペースだけで操作するというシステムが生きてます。「オペラ座の怪人」というビデオが3本ほど出ていますが一番古いビデオを観ていますと、フライマンが上からスルスルと降りてくる劇場の内部の構造が映っています。そのような所から、外国好きの方が作られてしまったのかもしれません。日本のシステムで3、4人で管理している中ではとても怖くて舞台の袖で操作するという事は出来ないでしょうし、日本の技術者では出来ないと思います。これは照明でもそうなんですが、外国の発想は、必ずキューオンリーなんです。

日本人の発想は見た目で、役者が行灯に火を灯したら変化をしますね、ヨーロッパでもアメリカでもそうですが、ステージマネージャー、舞台監督の権限は絶対ですから舞台監督がキューを出さない限り、役者が舞台で行灯に火をつけようがオペレーターは動かしません。これは国民性の違いといいますか、今までの歴史性の違いですので、そのような事が非常に大きくあると思います。何故それが起こったのかという事を、我々も勉強しながら、先に何処に行くのかという事を探っていく必要があると思います。

この劇場の調光卓は丸茂電機だそうですが、持ち込んだ調光器で丸茂電機のユニットを動かして丸茂電機の機材を動かしています、こういう事をしたいという提案が今後必ず増えてくると思います。今年、シアターオリンピクスという静岡で行なわれたプログラムの中にカナダのダンスカンパニーにこれをもって行きました、これで私達は制御したいからと、外国から持ってきました。このような卓だけではなく調光器を持ち込んでホールのユニットを動かしたいという要望が出てくると思いますが、多分それぞれの会館の方がメーカーさんに問い合わせると、責任が持てないと答えが出てくるであろうと思います。

責任が持てないとメーカーが突っぱねた以上、会館はどうするか、逆に我々と責任をどうするか、何かトラブルがあったらどうするか、という契約書を交わす必要があるだろうと思います。で、契約書を交わしてでも、可能性のある事をドンドン許して頂くという時代になって行くのではないかと。この劇場は氷見さんが決断して下さいました。

メーカーさんは新しい展開に対して責任を持つ事を怖がりますから、どうか変えていただきたい。可能性のあるものはドンドン、方向としては行なってもらう、その為には、我々業者と契約書を結んで、もし何かあった場合はどうするかという前後策も含めて検討するという方向へいければと思います。新しい展開を始めるとお考え頂ければいいのではないかと、今までのホールの調光卓で操作するという時代から、卓を持ち込むとかという可能性が信号を統一されて来ましたのでかなり進んでいくと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION