オートトランスからSCRへ移行したのが、昭和40年後半から50年代だと思いますが、大きく動きます。その後に、コンピューターで記億する、プリセットするものを記憶するという調光卓が日本に出てきました。これも非常に珍しいのですが日本だけでほぼ開発されてしまった卓です。私共は、シーン記憶型、シーン記憶システム、プリセット記憶システムと呼んでいますが、要はプリセットの一場面ごとを記憶していくという概念です。これがかなり一般的で、ほとんどの皆さん方のホールも記憶のついたSCRタイプの調光器が入っているのが主流だと思います。シーンの1、シーンの2、3というデーターを記憶する、最近ではそれを時間軸でもコントロール出来るというタイプの調光器が主流です。
それに対して国際的には、耳新しい言葉かもしれませんが、ムーブ式と呼ばれていますが、ムーブ型とかムーブ式と言われているコンピューター調光卓が主流です。
我々がムーブ式をはじめて見たのは15年以上前に東京のシアターアップルにストランドのライトパレットという機種が入ってきました、ライトパレットは何度も改良されてまだシアターアップルに入っていますが、概念がまったく違います。今まで我々が考えていたようなデザインのキューシートでは成立しなかったり、キューを割り込んだりすると、基本的にはトラブルが生じたり、今までの我々のプリセット型のシーン記億の概念とはまったく違う調光卓です。実は日本以外の国ではこのムーブ型が完全に主流になっています。
日本では相変わらず、プリセット記憶型、シーン記億型が主流になっています。
この理由の一番大きな問題は公共ホールの場合のプリセットフェーダーがいるのか、いらないのかと、いう議論です。ムーブ式の場合はノートパソコンでも操作出来てしまうというようにフェーダーを必要としません。ただ、操作性を高める為に幾つかのフェーダーがあったほうがいい訳ですが、フェーダーという概念がありません。どうしても日本の場合はプリセットフェーダーはあったほうがいい。これは買う側、施主側の問題としてそのような開発をメーカーに依頼をしてきた結果だと思います。
シーン記億型とムーブ型の大きな違いは、シーン記憶型はぺージで記憶しています、皆さん方がノートを執るのと一緒で、キュウの1は1枚のぺージと思って記億しています。2段目の記憶を2ぺージ目に、3段目を3ぺージに記億しましょう、というページという概念です、一つのシーンを記憶していきます。それに対してムーブ式というのは、チャンネルの1番は2時間のプログラムの間にどのように制御しているのかという概念です。チャンネルの1番はどのような働きをするのか、2番はどのような働きをするのかという概念です。