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公共ホール照明技術者のための入門講座

照明技術の展望とトラブル回避及び安全管理(2)

 

(講演内容) 2日目

日常、我々が一番心掛けている問題は、現状復帰です。ホールをお借りしていて、仕事をさせていただく中で、現状で復帰するのが基本でありますし、昨日からの話のように、安全管理ということは人的な問題、人命も含めた現状復帰が、基本だろうと思います。そのことを守らない業者ですとかは、ドンドン明らかにしていただいていいのではと思います。色々の場所でこんな事例がありましたと、出来るだけオープンにして頂く機会を作って頂いて改善していく場が必要だと思います。私は、今、劇場建築家とかメーカーの方とお話する機会があります、私どもがこの仕事についた頃は徒弟制度の真っ只中で、師匠がいました。長い間仕事をしてきた方から教えを受ける訳ですが、新しいホールが出来ると必ずきまって『こんな作りにくい劇場を作って』と我々の師匠は言いました。新しい展開を始めると必ず過去の経験値からクレームが出る。私はその時、どうして新しい劇場を作る提案をする側に行かないのかと、非常に疑問に思いながら仕事をしていました。少なくても劇場建築家、このような劇場管理する側の皆さんと議論する中に出て行くべきだろうと思っていましたので、できるだけ色々な情報をオープンにし技術論を含めて高めていく作業が一緒に出来たらなと思っています。

今、昨日と同じ状態で舞台は照明が点いていますが、昨日はここの調光室の調光卓で操作をしていましたが、今は、会場の上手の奥で、私どもの前澤が『ホライゾン』という昨日お話しました調光器で会場の照明をコントロールしています。後ほどこの調光器とホライゾンの話をしたいと思います。

最初に、高所作業ということで、日本のホールで非常に一般的に使用されています長谷川工業という会社の一般的な呼び方としてテレスコープ、正式な製品名はテレスコーブルと書いてあります。価格の面でだと思いますが、これが、日本のホールで一番使用されている機種だと思います。その他にジニー社というメーカーのジニータワーという油圧モーターでアップダウンするものもありますが、一般的にこのテレスコープが使用されている例が多いと思います。一番高い位置で26尺ほどになりますので、このボックスが7M位の高さに上げる事が出来ます、その上でオペレーターが一人乗り、サスペンションのフォーカシングする。通常は下に2人若しくは4人の操作員が固定する、移動する。昨日PL法の話をしましたが、長谷川工業はこの製品に人を乗せて動かしていいとは一言も書いておりません。原則的には"禁止"と言っております。ですが、ほとんどの公共ホールではこの上に人を乗せて移動させています。これはもう製造責任を超えています。使用責任、管理責任の問題です。実は、愛知県で事故が起きた後、我々もPL法にのっとって、上に人を乗せて移動するのを止めた時期があります。ですがその為に非常に作業時間が掛かります。一回一回人が下に降りて、上り下りして作業しますので、大変な時間が掛かります。かなり体力も消耗します。何回も上がり下がりしますので、膝がガクガクになります。逆にそのことによる危険性のほうを考慮して、今では、大体の愛知県、名古屋のホールでは規制緩和的に乗ったまま移動させています。ご覧のように非常にバランスが悪いです。

 

 

 

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