サスペンションについてお話します、サスペンションは当然スポットを吊り込むためのバトンです、フライダクトとバー2本で構成されている場合が多いです。このフライダクトの中は電線が入っていて、回線、配線がされています。マルチケーブルによって、スノコまで上がり、そこからユニット室まで配線がされています。照明専門の回路が保持されたバトンです。スポットを吊り込むためのハンガーです。このハンガーも日本固有です。
日本以外でこの様なハンガーを使っている国はあまりありません。非常に簡易です、アメリカはもっとガッチリした物を使っています。よく起きるトラブル、我々がよく経験しているトラブルとして、しっかりよく固定するためにこの部分をペンチで締めていきます、その為に折れることが有ります。鋳物ですから折れることが有ります。一つは製品ムラ、他に金属疲労があります。鋳物ですから原則的に折れることが有るという認識で使用します。
それと、ビスの締め方ですが意外とご存知無いことがありますが、これをセットビスと、こちら側をキクネジと言います。つまり二つのネジで固定します。スポットにダポがついていまして溝が切り込んであります、この溝の中にネジを押し込むことで保持される仕組みです。基本ですが、キクネジを締めこんで下さい、そしてセットビスを締めます。これが基本です。で、パーンする場合はセットビスを緩めます。セットビスを緩めることによってパーンする。固定したらセットビスを留める。これ両方が緩んでいますと構造上スポットから抜けることがあります。必ず、キクネジの方を先に締めてください。
ハンガーに関しては、アルミの軽量ハンガーがもう一種類あります。別のセミナーでアルミの軽量ハンガーがどの位耐久度があるものか?実験をした事があります。メーカー間でものすごくムラがありますし、同じメーカーの中でも20Kg大丈夫のものと、5kgで折れたものも有りました。多分、基本的にパアーライトスポット以外はアルミのハンガーは使うべきではないだろうと、確か耐荷重が10Kg以内だと思います。
キクネジ、セットビスを固定しました、ハンガーを締めました。原則ですが、ハンガーを固定したら、ワイヤーを掛けます、後でまとめて掛けるのでなくて、スポットを吊り込んだら、その都度ワイヤーを掛ける習慣をつけて下さい。バトンの端にワイヤーを掛ける場合の注意ですが、抜け落ちないように、滑り落ちない状態を確保してください。
阪神大震災が起きましたが、早朝という事もありまして人災は少なかったんですが、劇場の中はかなり悲惨な状態でした。いろいろの状況を考えるという事と、衝突を考えてください、このホールに於いても美術バトンと照明バトンが競っています、そのバトンに吊られた美術セットと接触すると、どういう衝撃が起こるか想定して下さい。そこまで含んで安全性を保持する必要性があるだろうと思います。