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2-3 カラオケ、のど自慢等の場合

 

この場合、バンドが生演奏か、所謂カラオケかで舞台内のスピーカーの配置に工夫が必要になる。いずれにしてもステージ中央、前寄りに歌手用の返し(フォールドバック)用のスピーカーは用意しなければならないだろう。

 

2-4 演劇

 

演劇の場合、客席が500以上であるときは舞台上の声をPAする必要が生まれる事がある。これは役者の声量が小さくなったのではなく、劇場の音響特性が明瞭度を重視する傾向にあることと、舞台が深くなる傾向にあることにあるといえよう。その様なときは工夫して声を拾わなければならない。

使用スピーカーはプロセニアムまたは+サイドスピーカーであり、プロセニアムスピーカーは2階席を狙って設置されている事が多い事を念頭に置くべきである。一階席にいてバランスを取ると2階席の方が大きくなりすぎる事がある。

演劇の場合、もっとも重視しなければならないのは「音像」である。舞台上で設定された位置から音が出なければ、最も重要な感覚であるリアリティを惹起することは出来ない。舞台美術、照明、音響効果によるリアリティの醸成は細心の注意と努力を惜しんではならない点である。

音像を設定するのに複数のスピーカーを用いることは良く見かけるが、これは聴取位置により差異が発生するので望ましくない。一音源一位置を原則とするべきである。

蟲、水滴など低音部を必要としない音を再生するのにフルレンジのスピーカーを設置することを見かけるが、不要な部分を再生してノイズの原因になるのは困る。

 

2-5 ミュージカル

 

あらゆるエンターテインメントの要素を備えたものとして歌劇が成立したが、その後のハリウッド映画の隆盛に伴ってミュージカルがブロードウエイ中心に完成したのは50年以上のことである。日本では40年ほど前から東宝や劇団四季から上演が盛んになり今日の流行を見るようになった。いまでは各地でオリジナルの制作を見ることが出来るようになった。

音響プランとしては、すべての唄、声が明瞭に聴き取れる事が原則である。声(役者)に対しての収音はワイヤレスマイクに負うところが多い。歌い手の位置の移動、音源と歌い手の関係、いずれを取っても複雑な課題を持つ物であり、音響としては完成の域に達してはいない。

 

 

 

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