日本財団 図書館


その他、ツアー等の場合は迅速な搬入、セッティング、片付け、搬出が要求されるので、それに対する、コース(搬出入経路)の的確な指定など現場に即応した配慮、指導が必要である。最近は調整卓などが重くなる傾向にあるので、引きずるなどする結果床に損傷を来すことがあるので監視が必要である。

 

基本設備の概要

 

基本設備を簡略にダイアグラムで示す。(図-2)

 

2 レパートリー毎の対応

 

ここではツアーを中心に先ず縦覧してみよう。

 

2-1 コンサート、リサイタル等の音楽物

 

最近の音楽物の機材は殆どが持ち込みになっている。これは全体に要求される音量が上がってきていることも原因であるが、組み合わせを決めてチューニングも済ませてあるものを持ち込んだほうがセッティングも音合わせも速いし、会館設備に無理を強いずに済む利点がある。これは観客の趣向がそうさせているといえないことはないが、音楽鑑賞の傾向が楽器の混和状態よりも組成を知りたい、楽しみたいと云う方向に変わってきたことも一因であると思われる。(図-3)

 

図中のフォールドバック系は最近更に重要視される傾向にある。舞台内に設備されている<返り用、ソロ用>としてのスピーカーは音楽演奏のためよりも、袖にいるスタッフや出待ちをする役者のためにあると思ったほうがよい。

 

殆どの音楽物はヴォーカルが重要な要素になっているので、メインのスピーカーのみならず、フォールドバック用のスピーカーとマイクの位置関係や、マイクと唄い手の口許の位置関係などに細心の注意が必要である。

 

2-2 舞踊、舞踏など

 

舞踊、舞踏などの音響プランの基本は踊り手に正確に音楽や効果音を伝えることである。「正確に」とは時間的に、と云う事で、音的に、例えばf特を重視することではない。

踊り手と代表する音源となるスピーカーの距離が10?を越えず、他のスピーカーの音が重複しないように考えるだけでも有効である。舞台上部に位置するバトンに小型軽量のスピーカーを低い方を切って吊るのも一法である。又最近の現代舞踊などでは客席にスピーカーを置き、客席も音で囲むことを試みる事もあるが、この場合客席内部に置いたスピーカーと至近の距離にいる客との関係は充分に配慮することが望ましい。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION