アートマネージメント研修会という言葉は実は、大昔からあったわけではなく、使っていた方がいたかもしれませんが、教科書とか研修会というかたちでドーンと出てきたのはここ4・5年ぐらいです。そういうアートマネージャーという資格を与えるかどうかは別として、そういうことをホール経営にどうしても必要だということがあって、こういう研修会がどんどん行われてきています。資格にするかどうかはともかくとして、アートマネージャー的なものがこれからどんどん必要になってくるのではないだろうかと思うのですが、その点、大野さん何かご意見がありましたらお願いします。
○大野
立場上、私の場合はどちらかというと物をつくる人間なのですが、物があってそれに向かって何かをつくるというかたちが多いものですから、非常にそういった質問をされるとつらい面があります。ただ、平田さんがおっしゃることは最もなことだと思うのでとてもこういった舞台技術を高めることも必要なのですが、街の文化政策としてそういうアートマネージメントを取り仕切る方が、必ずこれからは各地域に必要になってくるのではないかと思います。地域ということでいいと思うので、例えば館内とかそういうもので何軒かの館が集まってそういうものをつくっていくというやり方もあるでしょうし、理想は多分、各館一人そういう方がいて、取捨選択をしていくという。それと一緒にどうせもし予算があるならば、それこそ東京から来た既成のものに補助をするのではなくて、地元でつくっていくものに補助をしていくのが、僕は本当だと思います。
○深澤
札幌市の教育文化会館の経営というか、運営で今のアートマネージャーというかお客さんがお出になり、先程受付のときが一番大事だというお話しがありましたが、これは恐らく技術だけの問題じゃなくて、トータルしたご相談をされていると思いますが、その辺、何か文化会館で工夫されてたり、やっておられる現場のお話しを山形さんにしていただけたらと思います。
○山形
実際我々舞台で、舞台の職人かたぎで昔のようにやっていますけれども、ただそれから脱皮して営業まではいかなくとも、また来年も使いたいというような会館をつくっていくアートも含めて、考えていきたいと思っていますけれども、そういう方向が公立館の目指す方向じゃないかと考えます。
○深澤
それともう一点、これは皆さん最近耳慣れない言葉ではありますが、走り始めたPFIというのがあります。これは公共が従前から提供してた施設的なものについて民間にやらせるという、そういうものの考え方なんです。平田さんの先程美術館のお話しがありましたが、自治体ホールについてもそういう方向がこれから出てくると思います。利用型の施設には公共セクターと民間セクターの部分が必ずありますから、それをきちんと整理をしてその施設の運営にそれを反映させていこうということを、建設から一番最後の運営までまとめてやっていこうという考え方なんです。まだ、法律ができたばっかりで、これからどういう展開になるか分かりませんけども、民間セクターと公共セクターという問題というのが、先程平田さんからご提言のあった入場料ということに実はストレートに反映してくるものがあるんです。