(2) シベリア鉄道
旧ソ連時代は国家政策的にSLBの展開に積極的であり、SOTRAのような専用公団を設けサービス向上等の(彼らなりの)努力をしてきた。この姿勢はSLBの再活性化を願う現在も同様といえる。しかし、ロシア国内向シベリア鉄道輸送サービスは、旧ソ連時代からSLBほどのセールス意欲には乏しく、サービスレベルが低い部分がみられる。
ア. 着地税関の承認が必要
SLBの場合、トランジット輸送のためボストチヌィでの税関審査時間は短時間であり、「審査」よりは「届け出」のレベルに近い。
一方、ロシア国内向けの場合は、着側税関から当該貨物の保税輸送許可を得た後でなければ貨物の発送が認められないため、税関手続きに数日間の所要時間を必要とするケースもある。よって、SLBに比較して国内向けの輸送は、迅速性の点からも不利な状況となっている。
イ. 料金設定
鉄道運賃は政策的にロシア国内向けよりSLB貨物に優遇レートを提供している。そのため、例えば日本発モスクワ向けを想定した場合、直接モスクワに輸送するよりもフィンランドを経由する方が運賃が安くなるという逆転現象も起こっている。
ウ. ブロックトレイン
基本的には、SLBは本船到着次第ボストチヌィからブロックトレインにより輸送されることになっているのに対し、ロシア国内向け貨物は、仕向地ごとに編成される列車がある程度のボリュームに達した後に発送されるので、定時性の面でのリスクもSLBより高い。