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(2) ハンブルグ、ロッテルダム→東欧

自動車輸送の場合は、ハンブルグやロッテルダム等で「保税輸送」手続きが必要であり、EUの保税輸送形態であるT-1輸送の利用も可能である。しかし、実状としてはTIRカルネ輸送で行われる場合が多い。

鉄道輸送の場合はRail Waybillが保税輸送許可証の役割も兼ねることが自動車輸送と異なっている。フォワーダーはRail Waybillを作成し税関に提示し承認を得ることで、保税輸送が認められるので、Rail Waybillが本来のWaybillの役目と共に保税輸送許可証の役目も兼ねていることになる。

ただし、ドライバーのパスポートチェック等も含め、国境税関でのT-1とTIRカルネの審査を比較すると、TIRカルネの方がT-1輸送より厳密に行われ所要時間も多いという傾向にある。

 

T-1輸送とTIRカルネ輸送

 

T-1輸送においては、着地税関は発地税関に対してT-1の着地片を発地税関に返送する規定になっている。T-1の着地片を発地税関が入手できない場合、その貨物は着地で正当に内貨となったとみなされず、発地側で関税や付加価値税が徴収されるが、この場合の支払義務はT-1申請者が負うことになっている。したがって、フォワーダーがT-1申請をする場合は顧客の信用度等を勘案する必要がある。

現実には東欧へのT-1輸送には到着地税関からの着地片未返送のケースが、EU域内のT-1輸送に比較してきわめて多い。そのためリスクの減少手段としてTIRカルネの利用が広く採用されている。

TIRカルネ輸送とは「国際道路運送手帳による担保の下で行う貨物の国際運送に関する通関条約(TIR条約)」に基づいて行われる国際保税輸送をいい、貨物はカルネ条約締結国の保証団体(各国のトラック協会等)が発行する運送手帳(カルネ)により国境を越えるが、貨物の滅失等による関税支払い等の必要性が生じた場合、トラック協会等による保証団体のボンドにより処理がなされるので、T-1輸送のようなリスクをフォワーダーが負うことがないのが特徴といえる。

 

 

 

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