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I. 東欧編

 

I-1. 東欧へのアクセス

 

今回の東欧調査における主目的は、東欧の4カ国(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア)について、「フォワーダー業務」「輸出入アクセス(ロッテルダム、ハンブルグ等EUメインポートとの輸送アクセス)」「輸出入通関」等の基本的物流事情を調査することであった。

詳細は各国編にて解説しているが、全般的なアクセス手続き、通関手続は対象4カ国とも類似しており、突出した固有な制度は採用されていなかった。それらの概要は以下のようにまとめることができる。

 

1. アクセス

(1) 東欧→ハンブルグ、ロッテルダム

対象国のすべてにおいて輸出通関手続きが必要であり、通関が済んだ貨物は船積港であるEUメインポートに転送される。転送中の貨物は「保税状態」になるわけであるが、輸出許可済申告書により保税輸送が可能であり、改めて税関からの保税輸送許可等を取得する必要はない。

したがって、次のようなプロセスが適用される。

1]国内で輸出通関。

2]国内を保税状態で輸送(輸出許可済申告書で保税輸送が可能)。

3]国境通過(輸出許可済申告書の提示)。

4]EUメインポートまで保税状態で輸送(輸出許可済申告書で保税輸送が可能)。

5]EUメインポートで船積。

また、国境での車両や鉄道の積み替えの必要はなく、メインポートまでのダイレクト輸送が可能となっている。EUとの国境税関の主業務はドキュメントとシールのチェックであり、貨物検査は行われないのが通常である。

しかし、国境検問所では混雑、渋滞が発生する可能性が常に存在している。貨物自動車の場合は1日以上の国境通過待ちを余儀なくされるケースも珍しいことではなく、東欧―EU間の輸送の定時性・安定性の確保を難しくしている。

 

 

 

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