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第2章 江戸川区における「子育て世代の居住移動実態調査」分析

 

第1節 はじめに

 

本章では、江戸川区への移入者および江戸川区内移動者で12歳以下の子をもつ母親(以下子育て世代の母親と呼ぶ)を対象に実施された『子育て世代の母親の居住移動実態調査』のデータから、これら子育て世代の母親たちがどのような理由・要因で移動したのか、そしてそれに同区の子育て支援政策がどのように関わっていたのかを分析する。そのため、ここでは移動者を、その移動元によって、江戸川区内移動者、近距離移動者、遠距離移動者の3つのグループに分け、それぞれの特徴を検討する。

なお、この調査には、ずっと江戸川区に居住している者(つまり移動しなかった者)は含まれていないため、移動分析の分母となるべき「リスク人口(population at risk)」に関するデータは存在せず、したがって同区へのおよび同区内における移動の要因を分析することはできない。むしろ、本章の目的は、平成10年4月1日から平成11年3月31日の一年間に、江戸川区に移入および区内で移動した子育て世代の母親の社会経済的および人口的属性と移動の理由・背景を探り、それと江戸川区の実施しているさまざまな児童家庭政策、なかでも子育て支援政策との関係を探ることにある。

以下の第2節でまず、江戸川区における保育サービスの内容と特徴を概説し、次の第3節では移動タイプからみた移動者の属性と特徴を検討する。またここでは、移動タイプ別移動要因の多変量解析モデルについて説明する。そして第4節では、移動タイプの決定要因に関する多変量解析の結果を示し、その意味について考える。さらに第5節では、移動者たる子育て世代の母親が、移動前に江戸川区の地域サービスについてどのような関心をもち、またどれくらいそれらのサービスについて情報を得ていたのか、また移動後自分たちの生活環境がどのように変化したと感じているのかについて分析する。

最後に第6節で、本章をまとめ、その含意について検討する。

 

 

 

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