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そういった中で、例えばブロードウェーの商業演劇をやっているプロデューサーの人たちが議会の公聴会で、自分たちは別に政府の補助金、そんなものは要らない。ビジネスでやっているからいいんだ。ただその実験的なものというのがあることが、商業的なものを含めて、すべてがアメリカのアートを発展させる根源なんだから、それを切ってはいけないというような証言に対して、商業的な活動をしているような、最終的なところを普段向いているような人たちの中でもコンセンサスができている。そこが最大の違いなんです。

アナロジーでいくと、学術政策の分野が非常に同じことが言えていて、今も例えば、大学改革というと、その役に立つものをつくれ、教育しろと、そういう議論ばかりするんです。やはり先ほどおっしゃいました、地道につくられているというところが、アートも学術も同じです。

例えば、因数分解できない人に微分をわかれといってもわからないわけです。それと同じものがアートの世界にもあるわけです。それをきちっとわかった専門家としての評価をする部分と、本当に感じたままでいいんですよという、いわゆるマーケット・オリエンテッドという商業的なところでの評価というのと、その二つをうまくバランスさせていくというセンスをしっかりもって文化政策と向き合わないと、それが混在したままになってしまいますと、非常に危険な状態になるということで、その辺の専門家をきちんとつくって、そちらの評価といわゆる大衆人気のところとを区別していくというのが、当面非常に重要なことかなと思います。

A アメリカの文化政策を支援するときに、実験的な試みについては予算をカットしないでほしいという要請をした。具体的に実験的な試みというのは、どういう形で現れたか教えていただきたいんです。つまり、文化的な予算のうち実験的な試みの部分についてはカットしないでくれという要請をアメリカの芸術家たちはした。では、具体的にどういう形で政策化されていたのか。

 

 

 

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