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D 基本的には全部補助金です。ただ補助金を連邦が100%支援することはしないで、それに対して、マッチングさせるスポンサーを外部から集めなさいという条件で与えています。総事業費の全額は絶対補助しないけれども、連邦政府以外のサポーターがいれば、そことマッチングさせて補助金を出しますという形で、基本的には1年単位の補助金を与える。ちょっと今は変わっているところもありますが、当時はそういうことです。

市村 NEAという唯一の連邦機関があるんですが、むしろそこ自身は本来的には保守的なところなんです。それで新しいものというのは、かなり民間や財団の方のサポートが重要だった。

もちろん言えることは、例えば、日本で劇団「四季」というようなものは、そのままで経済的に成立しています。でも四季が成立するには、四季は新しいものを開拓するわけではありませんから、彼らは新しいものをどこからかもってきているわけです。それをつくった人は別にいます。そういうことをわかって、われわれが生きるためには新しいものをつくり出す人が必要なんだということです。例えば、先端的な技術をつくった人がいる。でも、それを一般化した人とは別です。先端的技術をつくるということ自体は本当に経済性がないんですよ。観客の曲線を考えますと、質が上がるにつれて、どんどんお客さんが増えていけばいいんですが、そんなことはなくて、ある質を越えてしまうと極端に減ってしまうということが起きるんです。だからお客さんを入れるためには、質を一番高くしちゃいけないんです。

新しいもの、質というのは、この場合、新しいチャレンジをして、新しい方法を開拓するということです。社会的には、何だこれ、よくわからないやというものなんです。多くの人は、それより以前につくられて非常に安定をしたものを見たがるという傾向にあります。

ファッションショーも同じですけど、昔のTシャツなんて下着で、だれも着る人がいない。でもそれをファッションにした人がいるわけです。それは一般化したときに初めてお金になるわけですけど、当初は、ばかだ、変だと言われているようなことと同じで、この部分は経済性が全くない。

もう一つここで言いたいのは、それは客観的に判断できる、見る目を養えば判断できますということなんです。

 

 

 

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