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E 簡単で結構ですが、きょう話されている内容ではないのですが、ムシャラフ政権でのアフガニスタンに対する政策というのはどういうものか。今までパキスタンとかいろいろ言われていますけど、イラン軍の政府の人に会ったときに、今度クーデター後の政権にどう対処するのか、注目していたようなところがあった。そういうところであれば、ちょっと教えてもらいたいなと思いまして。

小田 どういうふうに対応していくかというのは、正直なところわからないです。ただ公にアフガンのタリバンを応援しているという可能性はあり得ないです。これまでも確かにそうだったんですが、今のパキスタンの置かれている状況を考えると、公にタリバンを応援していくという状況は考えられない。ただし、若干ですが、軍の中において、イスラム原理主義に傾く動きがあると言われていますので、タリバンを全く無視してしまうという可能性も考えられない。無視することによって、原理主義の支持者たちによって、何らかのアクションが起こる可能性も考えられますので。

A それは、私の方から。これは非常に皆さんは間違っているんです。正確な報道をしているのはあまりないので、もし頼まれたら私もと思ったところで、今タリバンの本を読んでいるのですが、タリバンというのは、もともとアフガニスタンとパキスタン北西辺境の民族パシトゥーン族なのです。彼らは非常に忠誠心が強いし、英国の中で活躍したグルカ兵と同じようにパシトゥーン族は非常に強いんです。そのパシトゥーン族が、アフガニスタンのパキスタンに近い国境地帯に住んでいるわけで、同胞なんです。同じパシトゥーン族のために協力しているという彼らの考えなんです。それとパキスタンとアフガニスタンとの外交関係は全く別なんです。別というのは、もう少し言いますと、彼らは自分たちの同胞ということでいろいろ応援しているのです。

アメリカが、ご存知のように冷戦構造の中で、パキスタンをものすごく助けたんです。武器を供与し、パキスタンのインテリジェンスを養成して、CIAがどんどん入って、それから秘密工作をどんどんやっていたわけです。

ところが、アメリカが一挙に引いた。引いたけれどもアメリカ撤退後の後遺症がずっと残ってしまったのです。それも話すと長くなりますから、アフガニスタンだけの関係をみると、アフガニスタンはパキスタンの隣の土地ですから、守らなければならない。イランのマスード族の勢力がどんどん入ってくる危険性があるからです。オスマン・ビン・ラディンもそっちから入ってきたのですが、これが今度勢力争いになっているんです。

 

 

 

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