それからまた、SAARCに属している意味が、インドにとっては何があるのかというふうなことが考えられます。パキスタンにとっては若干メリットがあるとは思うんですが、インドにとっては工業化がどんどん進んでいますし、その工業化が進んでいるインドにとって、依然全く開発が進まないその他の国とのつき合いをうまくやっていくのは、非常に難しいことだと感じます。それゆえインドとしてはASEANの方に肩入れをしつつある。パキスタンの方はイスラム諸国との関係を強調している。
C 例えばどういうことですか。
小田 ですから関係というのは、経済的なものです。
経済的なイスラム詣でみたいなのをやっています。象徴的なものは、クーデターのあとにどこに最初に行ったかということです。アメリカでもなく、日本でもなく、サウジアラビアなんです。サウジアラビア、トルコ、クウェート、そういう国を回っているんです。それだけ、非常に大切にしているということです。かつ、出稼ぎの人たちというのは、湾岸の国、アラブ諸国を中心にして出かけておりますので、そこから送られてくるリミッタンスというのは、非常にパキスタン経済にとって大切でありますし。
A 私はSAARCを担当したことがあるんですが、SAARCには日本も非常に援助していましたね。SAARC内のセミナー、有識者を招いて日本でセミナーをしたり、それから向こうで金を出して、日本の講師が行って、SAARCの中で議論したりするんです。それから、SAARC内自体では、お互いに貿易の関税率を下げることをやっております。非常に特定したものでまだ広がっていませんけど、そういう目はあるんです。
ですから、SAARCが非常に弱体ではあるけれど、徐々に発展するでしょう。私はASEANも若いときに担当しました。ASEANだって、発足当時は社会的なことしかできなかった。インドネシアとか、シンガポールとか、マレーシアとか対立要素が強くて何もできなかった。SAARCもASEANの初期のような状況で、インドがあまりにも大きくて強いものですから、インドの動向に左右されるという結果ですが、今、経済的関税率を引き下げるとか、徐々に発展していることは事実です。日本はこれを盛り立てるようにしています。
インドがASEANに近づくとか、そういったことはむしろ誤りで、SAARC自体をできれば盛り上げたいと思っている。インドも積極的になってきました。インドの経済も強いわけですから、お互いにタリフ・リダクションした方がインドにとって好都合です。