司会 ありがとうございました。Bさんいかがでしょうか。
B 普段なかなか聞けない具体的な話をありがとうございました。A先生のコメントも含めて、非常にためになります。一つだけ素朴な質問ですが、民政と軍の関係で、軍自体には汚職などの腐敗的なものが一般的な社会に比べてどの程度あるのか、ないのかということも含めて、今後の軍政と民主化の軍の政権、それから民主化というプロセスがやはりスイッチしながら進んでいくのか、その辺についてのレクチャーをお願いします。
小田 非常に難しい問題ですね。軍がコラプトしているかどうかの問題ですが、基本的には国民が軍に対して持っているイメージというのは、「非常にクリーンである」ということです。何か困ったときには軍が出てきて助けてくれる。これはとある大学の先生がおっしゃったんですが、「パキスタンにおいて軍というのは、水戸黄門である」と。すなわち非常に国民の信頼があついわけです。
ただし、コラプトしているかどうかの問題に関しては、コラプトしているところもあると思います。ただ、それが政治家とか、そういったものに比べると非常に少ないのではという気がします。あるいは密貿易とかでも軍が関与しているのではないかという話もあります。また麻薬がらみのお金も若干動いているのではないかという話もありますので、全く軍がクリーンであるか、100%クリーンかと言われると、ちょっと問題なんです。ただレベルの問題として、政治家と比べると全然クリーンであるということは言えるでしょう。
今後民政と軍政がどういうふうになっていくかということですが、正直なところわかりません。ただ今回の軍政というのは、ジア・ウル・ハック時代みたいに長期的に居座るというということは考えられない。ですから、ある程度1年や2年の期間を終えれば、民政になっていくでしょう。問題はだれが民政を運営していくかということだと思います。また、間違ったリーダーが出てきて間違ったことをやっていると、またそこに軍が出てくる。同じ歴史は繰り返されるのかなという感じがいたします。
A ちょっと補足させてもらいますと、軍人というと、とにかくミリタリーというと、何となくいかつい人を想像されると思いますが、私は3年半かなり支配階級のいろいろな人と付き合いましたが、軍人の方が本当に話していて普通に話せる。というのは、彼らは非常に教養がありまして、私が付き合った知事も軍事出身だし、ハイデルさん、あの人も文芸が非常に好きです。日本の教育とか、日本の文学にも関心を示していました。本当に話していて非常に教養あるグループです。