日本財団 図書館


ハーグの国際司法裁判所に日本から行っている裁判官がいて、その人に聞いたところ、「そんなことはない。あれは明らかに国際法上でいえばポルトガル領だ」と、彼はそう言っていました。

結局、日本で東ティモールのことを知っている人は、人口の1000分の1でしょうかね。今までずっとやってみて、1万人ぐらいしかいなかった。いや、1万人もいなかった。だから、われわれは知らせ役だった。毎年、スピーキングツアーといって、向こうから人を呼ぶのですが、呼ぶのがまた大変なんです。呼んで、各地で講演会を開いて、みんなに知らせるということをやる。

もう一つは、日本政府に圧力をかけるんですが、これは僕らの責任ですけど、なかなかかからないんです。ただ、国会議員のなかでは、東ティモール問題を考える議員懇談会というのをつくって、多いときは80名ぐらいの議員団がいました。しかし、それだけやっても、やはりだめなんです。もっとも国会議員というのは何も考えてないからね。自分の当選だけ考えてるみたいです。本当にそう思います。

余計な話だけど、議員というのは全然逆なんです。本来であれば、まず世界のことを考え、日本のことを考え、それから自分の政党のことを考えて、派閥のことを考えて、最後に自分が当選するかどうかを考える。日本の国会議員は逆でしょう。まず、当選することを考える。それから、自分の党、派閥のこと、それからせいぜい日本の社会のことを考える。本当は考えてないけどね。それも全然下の方、自分の当選と関係することしか考えていない。それから、後は世界のことを考えるというぐらいです。

そうだから、僕は、本当に東ティモール問題をやっていてびっくりするのは、初めは決議案の賛成が70票ぐらいあったのです。どちらかというと、割合小さい太平洋の島々の国とか、たくさんあるんです。一番すごいのはバヌアツ島というのがあって、人口10万ぐらいの島で、そこの大統領が来たときに僕は会ったんですが、バヌアツは割合東ティモールに近いので、そこに何か塔を建てて、そこからラジオ放送を流すようなことを考える。いろいろやったら1千万ぐらいかかるというので、1千万円ぐらい何とかなるだろうとやっているうちに政変が起こって、大統領が失脚してできなかったんです。

太平洋学会というのがあって、そこでしゃべったときに、東ティモールの人口は60万人ですが、僕らがいたときも60万人、それからずっと60万人というと、結局たくさん殺されているんです。さっき言った殺戮率が世界一でしょう。3分の1殺されて、レイプの率が2割、成人女性の2割がレイプされている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION