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世界の侵略というのは、みんな何か理屈つけて、要請があったから入ったとか、そういう侵略の仕方をしているんです。

この東ティモールの場合も、東ティモールの一部の勢力から要請があったというので、インドネシアが入ってきた。しかも、12月7日に侵略したんですが、12月5日にアメリカのフォード大統領がジャカルタへ行くんです。

結局、簡単に言えば、ゴーサインを出したわけです。ゴーサインを出して、12月7日に侵略した。オーストラリアはそのことを知っていまして、情報は入っていて、12月5日の夜に電報を打っているんです。電報で東ティモールにはかなりのオーストラリアの人がいましたから、危ないから全部引き上げろという勧告を出して、かなりの人は引き上げたんです。案の定12月7日侵略する。これが侵略の最初です。

侵略して、それも義勇軍と称している。大体みんなそうなんです。侵略というのは、初めは義勇軍。しかし、実体は完全なる完備された軍隊です。国軍が入ってきているんです。義勇軍なら戦車を持ったり、ヘリコプターを持ったりなんかしません。こんなことで、最初の1日で2000人が殺されたというんです。それが75年の12月です。

75年の12月というのは、まだ国連が開いていまして、国連ですぐ決議をかけるんです。決議が上がって「インドネシア軍は直ちに撤退しろ」と、「東ティモールの自決を認める」という国連決議が出ました。

日本政府は、その時、独立に反対する方へ入っているわけです。僕は「日本政府というのは何だ」と、いつも思っています。日本はインドネシアとの関係がものすごく深いでしょう。経済的な利害関係がすごく深いですよね。日本のインドネシアに対するODAは、世界各国のインドネシアに対する対外援助を合計したよりも多い。大体、3000億円ぐらいです。しかし、対外援助というが、あれは対内援助ですよね。日本の企業のプラントにお金をつけるんですから。あれは対外援助でなく、対内援助だと僕は思います。また、日本は、石油とか天然ガスをインドネシアから輸入しています。そうした経済関係があるために、日本は国連の決議に反対するんです。75年から1982年までずっと決議があるんですが、日本はずっと反対している。反対するだけでなく、日本はものすごいオルグ活動もやっている。

オルグ活動というのは、日本はあちこちアジア各国とかに援助しているでしょう。そういうところに全部オルグしちゃって、賛成の数は変わりませんが、反対票がだんだん増えてくるんです。82年度になると、賛成が50何票で、反対が45、6票になるんです。

 

 

 

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